最新記事

英王室

エリザベス女王の憂鬱、「健康不安説」「不人気な息子」「もっと不人気な孫」

GOD SAVE THE QUEEN

2021年12月22日(水)19時54分
ジャック・ロイストン(英王室担当)

「彼は悪い国王になると思う」

英調査会社イプソスモリによると、91年、チャールズが「良い国王になると思う」と答えたイギリス人は82%もいた。

ところがそのすぐ後に、カミラ・パーカー・ボウルズ(現在はチャールズと結婚してコーンウォール公爵夫人)とのダブル不倫が明らかになり、ダイアナが涙ながらにチャールズの冷淡な態度を暴露し、離婚が成立すると、チャールズの人気は半減し、そのまま下がり続けている。21年5月のユーガブの調査では、チャールズが「良い国王になると思う」と答えた人はわずか31%で、むしろ「悪い国王になると思う」と答えた人は35%に上った。

とはいえ、こうした数字が何かを変えるわけではない。それに歴代の英国王にはとんでもない暴君が大勢いて、当時世論調査があれば、はるかにひどい人気だっただろう。

英王室の一部は、女王が死去した場合に備えた計画「ロンドン橋作戦」とチャールズの戴冠計画「春の潮作戦」という最高機密をリークした。万一のことがあっても英王室は変わらないと印象付けるためだ(これらは9月にニュースサイトのポリティコ欧州版によって報じられた)。

21年は、チャールズにとっていい年になるはずだった。30年以上前から環境保護を訴え、草花の話ばかりする変人と笑われてきたが、21年はグラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催される。イギリスが世界的な地球温暖化対策を取りまとめ、チャールズは先見の明のある王族として敬意を集めるはずだった。

だが、父フィリップの死や、弟アンドルー王子の未成年の少女に対する性的虐待疑惑、そして次男ヘンリー王子と妻メーガン妃(サセックス公爵夫妻)が20年、王室の「高位メンバーの責務」からの引退表明をしたことの余波を受け、チャールズの功績は影が薄くなってしまった。

211228P58_EOS_06.jpg

エディンバラ公フィリップ殿下の葬列(2021年、ウィンザー) POOL/SAMIR HUSSEINーWIREIMAGE/GETTY IMAGES

ダイアナが生きていれば60歳を迎えた21年7月1日、サセックス公爵夫妻のファンアカウントは、「ダイアナの誕生日に、ヘンリー王子とウィリアム王子が母親の像を見上げる美しい光景」とする写真をツイートした。だがそこに写っていたのは、王子としての責任を果たしつつも、お互いからできるだけ距離を置こうとする兄弟の姿だった。

ダイアナの伝記を本人の協力を得て書いたアンドルー・モートンは、「みんなメーガンとヘンリーにばかり注目するが、見る場所が間違っている」と語る。「本当に目を向けるべきなのはチャールズだ。その前途には大きな困難が待ち受けている。近い将来、国王であり国家元首になる人物の支持率が30~40%しかないのだから」

「危険な事態だと思う」と、モートンは言う。「ヘンリーとメーガンは王室にとどまっていても、付随的なメンバーにすぎなかった」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    韓国のキム・ジヨンに共感する、日本の佐藤裕子たち..…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 2

    タンポンに有害物質が含まれている...鉛やヒ素を研究…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    「ショート丈」流行ファッションが腰痛の原因に...医…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプ新政権ガイド

特集:トランプ新政権ガイド

2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?