爪でギターを弾き、ドラムを叩く...全米で喝采を浴びる「猫バンド」
‘I Manage a Group of Performing Cats’
猫たちの調教は日々の観察のたまものと言うマーティン SANDRA RUST
<人付き合いの苦手な子供だった私が、今では調教師として「芸達者」な猫たちとショーで喝采を浴びる日々>
私は7歳の時には既に、動物の調教師になりたいと思っていた。自宅で飼っていた犬の調教を9歳で始めたが、私には生まれつきの才能があったようで、いくつも賞をもらった。一方で、家の周辺で見つけた傷ついた動物を助け、健康になるまで面倒を見たりもしてもいた。
人付き合いが苦手で、故郷の小さな町にはなじめなかった。だが23歳の時にシカゴに移り住んでから、自分の居場所と仲間を見つけることができた。
ペットショップで働き始めた私は、飼っていた何匹ものラットに芸を仕込んだ。そしてラットたちによるアクロバットならぬ「アクロラット」ショーを開いたところ、カルト的な人気を博した。子供時代は社会から孤立していたのに、自分の道を見いだせたおかげで、今度は社会から受け入れられるようになった。
ある日のこと、ラットの出演依頼のために独立系映画の関係者が勤務先のペットショップにやって来た。私は店を辞め、映画の撮影に参加した(無給だったけれど)。
次にテレビ局から声が掛かった。調教の様子やラットの芸をカメラの前で披露したところ全米で放映され、今度はクリスマスイブにイタリアでショーをやらないかと依頼が来た。そうこうしているうちに、私は多くのテレビ番組に出演するようになっていた。
とはいえ、ラットのショーだけでは生活が成り立たない。私は野生の動物に関する出前授業を手掛けることにした。
ギターを「爪弾く」猫
でも2000年代に入り、映画やテレビ向けの動物調教師になるという夢が実現していないことに気付いた。ツナという名前の素晴らしい才能を持つ猫に出会ったのはそんな時だ。私はツナに芸を仕込み、イベントで披露した。
04年には猫のバンドを結成した。ツナをはじめとする数匹の猫を調教し、実際にピアノやギター、ドラムを演奏させたのだ。爪は天然のギター用ピックとなるし、ピアノの鍵盤やドラムのスティックもちゃんとたたくことができる。人に見せたら好評だったので、猫だけのショーをやってみることにした。
各地でショーを開いたら、観客が大挙して訪れた。そう、世の中には猫好きが大勢いるのだ。以来、全米を旅して回っている。