COP26にCO2呑み込む「巨大クラゲ」出現 子供が遊びながら環境について体感
COP26のグリーンゾーンに登場した「エア・バブル エコマシン」 © NAARO
<各国政府や企業の要人が議論する傍らでは、自然のエコシステムを体験する子供の笑い声が響いた──>
英北部グラスゴーで開催中の、第26回国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP26)が注目されている。CO2などの温室効果ガス排出量の削減に関して各国が具体的な方針を示し、国際社会は一丸となって脱炭素社会実現に本気で取り組むのか。各国首脳による議論が交わされる会場のすぐそばでは、一般の人たちも気候変動対策について考える場が設けられている。11月12日まで、グラスゴー科学センターがCOP26公式の「グリーンゾーン」と銘打ったイベントを連日開催しているのだ。環境関連のワークショップやアート展示、インスタレーションや音楽演奏などに、誰でも無料で参加できる。
エアトランポリンが、実は藻の空気清浄機
グリーンゾーンには、長さ10m高さ6mの白い物体が横たわっている。不思議な形で、クラゲにもカイコにも見えるこの有機的なオブジェは、「エア・バブル空気清浄エコマシン(Air Bubble air-purifying eco-machine)」という。名前の通り空気清浄機だが、藻を使っている点に特徴がある。
藻にはCO2を吸収する効果がある。陸上の植物がグリーンカーボンと呼ばれるのに対し、藻はブルーカーボンと呼ばれる。COP26の目標は、カーボンニュートラル実現だ。将来も完全にゼロにはならない世界のCO2排出量から、森林やDAC(Direct Air Capture、直接空気回収)などによって大気中から吸収したCO2量を差し引き、実質的にCO2排出をゼロにしようというものだ。藻も、その吸収・回収方法の1つとして世界各地で研究が進んでいる。エア・バブルも研究中のプロジェクトで、成長した樹木24本分のCO2吸収量があり、ロンドンの建築・デザイン事務所エコロジックスタジオ(ecoLogicStudio)が考案した。同事務所は、建築にバイオテクノロジーを利用したデザインの開発を続けている。
エア・バブルの材料はシンプルだ。リサイクル性に優れたTPU素材(スマホケースなどに使われる熱可塑性ポリウレタン)の0.5㎜の膜、空気、水、そして光合成を行うクロレラ培養液でできている。空気は、丸い形にした膜に注入して膨らませるために使う。底には光合成に必要な水6000ℓがあり、内側の壁には計200ℓのクロレラ培養液が筒状にした膜に分けて固定してある。このクロレラ培養液は日光が当たることで、毎分100ℓの汚染された空気をろ過。CO2のほか、窒素や粒子状物質(PM10やPM2.5など)を吸収できる。エア・バブルをデザインしたエコロジックスタジオ共同設立者マルコ・ポレット氏によると、藻は直射光ではなく拡散光を好むため、エア・バブルの藻の働きは晴れた日より曇りの日のほうがより活発になるという。真冬や非常に暗い日には、波長の幅や強度が大きい人工照明を使って藻の成長を助けることができるそうだ。