欧州はワクチンパスポートなしではカフェにも入れず スイスも16歳以上に提示義務化
写真はドイツで使われているワクチンパスポート REUTERS
<ドイツ語圏では3Gと呼ばれるワクチンパスポートを導入。接種を受けない人は日常生活に制限を受けることに──>
新型コロナウイルスのデルタ株が広がるヨーロッパにおいて、飲食店や文化施設などに入る際の、いわゆる「ワクチンパスポート」の提示義務化が広まっている。各国によって適用範囲は多少異なるものの、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、オーストリアなどが実施している。イギリスのイングランド地方では9月末から提示が導入される予定だったが、見送りになった。一方、スイスでは、9月13日から提示義務化が始まった。
証明書提示の違反には、罰金
ワクチン接種証明、感染後に回復したことを示す証明、検査の陰性証明を指す「ワクチンパスポート」は、ドイツ語圏では「グリーンパス」と呼び、その所持者を「3G」と呼ぶ。3Gはワクチン接種済の人、感染して回復した人、テストで陰性だった人を表すドイツ語geimpft、genesen、 getestetの各頭文字Gを取っている。
スイスにおいて、3Gであることを印刷した紙やスマートフォンなどで入り口にて見せなくてはならないのは16歳以上で、飲食系の屋内、文化・スポーツ系施設の屋内、そして屋内のイベント、千人を超える屋外イベントだ。職場での3G提示は義務ではないが、雇用者が求めてもよいことになった。大学などの高等教育機関は各州や各機関が決める。3Gルールの実施期間は2022年1月24日までの4カ月間で、医療施設の状況が改善されれば早期に解除になる。
接種(無料)はせず、検査の陰性証明の取得を希望する人は、10月1日以降、検査費用は自己負担になる(症状がある人の検査費用は引き続き無料)。
本ルールに違反した個人は、約1万2千円の罰金が科せられる。違反した施設やイベントには、罰金が科せられたり、閉鎖を命じられることもある。コントロールは各州が行う。
ワクチン接種をする人が再び増加
3Gルールによりワクチン接種を強化しようという政府のねらいは、国民の行動にすぐに反映した。スイスでは、夏休み前に接種が急増し8月以降は一定の水準を保っていたが、3Gルール義務化開始の前週から接種を希望する人が増えたのだ。