最新記事

回顧録

人気コメディー番組のコメディエンヌが書いた「コロナ泣き笑い記」

Crying and Laughing

2021年09月03日(金)11時46分
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)

210907p52_cm02.jpg

SNLの出演シーン WILL HEATH-NBC-NBCU PHOTO BANK/GETTY IMAGES

プライベートではつらい経験を味わったが、仕事は相変わらず忙しく、好調だった。「私は現実よりずっと忙しかったと思われているみたい」と、彼女は言う。「本当はベッドの中で長時間過ごしていたし、執筆する日もあれば、ルーシー(愛犬)と散歩に出掛ける日もあった」

「私は泣ける話が好き。だからといって楽しくないわけでもない。誰かの葬儀に参列したり、つらい経験をしたりしても、そこには笑いもたくさん含まれている。私にとって大切なのは心をオープンにすること。それは常にコメディーの一部だと思っている」

回顧録が出版された今、ストロングは悲しみを抱えているのは自分だけではないと実感している。「(この本のオーディオブック版を録音した)スタジオでも、最後には全員が泣いていた。責任者の男性は最近、大切な人たちを亡くしたそうで、『この本は多くの人の助けになると思う』と言ってくれた」

オーウェンから受けた影響は、恋人のジャックを心から好きになることにもつながった。「オーウェンは生前、愛について教えてくれた。亡くなった後も教えてくれる」と、ストロングは言う。

「私たちは会えない時期があった。『デートしようか?』『OK!』と言っていたのに、4日後に彼が新型コロナに感染して、それから3カ月も会えなかった。とてもつらかった。でも、彼は私の人生に戻ってきた。外で私と手をつなぎたいと思ってくれる人がいるのは本当にうれしい」

自分自身にも優しさを

「彼の好きなところは、何でも言い合えること」だと、彼女は言う。「私にとってはとても貴重なこと。私には話し合える相手が必要。この1年で性格が丸くなったと思う」

これまでのところ、21年は20年よりずっといい。7月にはSNLの仕事でエミー賞にノミネートされた。「とてもラッキーだと思う。もちろんノミネートされたのは素晴らしいけれど、私は去年のSNLに参加できたことをとても誇りに思っている。なので、ノミネートは私たち全員へのご褒美だと思う。去年は大変な年だったし、自分たちがやったことは本当に誇らしい」

ストロングは『シュミガドーン!』について、20年にさまざまな経験をした後で取り組んだミュージカル・コメディーは、暗闇の先の光だったと言う。「個人的には癒やされた気分。今は少し怖さがなくなって、もっとオープンになっている。これをみんなと共有できるのはとてもうれしい。この作品は人々に必要なものだと思う」

「今は誰もがとても怒っていて、心の傷をたくさん抱えている。私たちはお互いに、そして自分自身にも優しくならないと。ちまたにあふれる『最悪だ』という言葉が『愛してる』に変わっていったら素敵だと思う」

20250128issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザ地区、北部住民の帰還に向け準備 停戦協定の実効

ワールド

ウクライナ、トランプ氏のロシア制裁発言を歓迎 「強

ワールド

米国務長官、初外遊でパナマ訪問を計画=関係筋

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件増の22.3万件、小
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 2

    ヘンリー王子「画期的勝利で和解」...メディアが違法…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…

  • 5

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 1

    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…

  • 2

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 3

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 4

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプの頭の中

特集:トランプの頭の中

2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る