『Lの世界』が描いたレズビアンの物語を、ゼロから作り直した続編
It’s All About the Character
JILL GREENBERG/SHOWTIME
<17年前にレズビアンたちの愛と喜びを描いたドラマ『Lの世界』。主演のジェニファー・ビールスが続編を語る>
ドラマ『Lの世界』がスタートした2004年、LGBTQ(性的少数者)が主役の作品は珍しく、あったとしても描き方が一面的だった。
「LGBTQの物語は、社会の主流派でないがために生じる痛みを中心に描かれることが多かった」。そう語るのはジェニファー・ビールス。『Lの世界』のオリジナル版でも、19年に始まった続編『Lの世界 ジェネレーションQ』でも主演を務めている。続編は、この8月6日からシーズン2が始まった(日本ではシーズン1が8月28日からHuluで配信)。
彼女にとって続編で重要なのは、より多様性に富んだ人物を登場させていることだと言う。本誌H・アラン・スコットが聞いた。
――『Lの世界』に続編ができるなんて思っていた?
オリジナル版の頃とは世界はすっかり変わった。セクシュアリティーやジェンダー・アイデンティティーに関する言葉は、全く新しいものになった。だから新しい物語をゼロから作り直さないといけないと、私たちは思っていた。
――続編への反応は、オリジナル版とはどう違う?
オリジナル版の放映は、当時としては大変な出来事だったと思う。世間では異性愛が当然とされ、ポップカルチャーでも同性愛者は影が薄く、ドラマにトランスジェンダーの登場人物などいなかった。
そんな時代にオリジナル版は、ロサンゼルスに住むレズビアンたちを描いた。しかも彼女たちの痛みではなく、愛と喜びを中心に据えた。
『ジェネレーションQ』も、ロマンチックな愛と喜びを描いている。痛みを描くにしても、愛という枠組みの中でのこと。ドラマの中にはLGBTQを全面的に持ち上げるものもあるけれど、LGBTQもそうでない人々と同じで、喜びがあって痛みもある。そこを同じように描くことは意味があると思う。
特に若い視聴者にとっては、その点は当たり前になっている。LGBTQを扱うコンテンツは、全く特別なものではなくなった。
――そんな大きなカルチャーの変化に、『ジェネレーションQ』はどう対応する?
制作陣が頑張っているけれど、やはり人物描写が決め手になる。LGBTQのあらゆるアイデンティティーを掘り下げるのは、ドラマでは不可能だ。登場人物の数には限りがあるから。でも制作陣は、ベストを尽くしている。