東京五輪、女子体操の代表選手が感じた女性とスポーツと五輪の意義
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女子体操選手にとってはもう1つ、生理という悩みの種がある。私も、生理中はレオタードからタンポンのひもがはみ出てしまったらどうしようと心配になる。
だから試合があるときはピル(経口避妊薬)を飲んで、生理が来ないようにする。でもボディースーツを着られるなら、薬ではなく衣装を替えることを選ぶかもしれない。
女子選手は体形に関するプレッシャーも大きい。露出の大きいレオタードは、間違いなくそれと関係している。しかも選手は毎日練習するから、とても長い時間レオタードを着ている。
私はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に留学したとき、練習でトレーニングトップスを着ていた。レオタードよりも緩いので、今日はちょっと体がむくんでいるなと思うときや、体調がいまひとつのときは特に心地よかった。それ以来、練習ではレオタードを着なくなった。
レオタードで試合に出ると、私の体形について誰かが何か言っているだろうなと思う。直接言われなくても、その目が演技だけでなく外見にも向かっていることが分かる。女性の体形は人それぞれなのに、スタイルが悪いと言われたりする。たとえ体脂肪率が10%で、最高に引き締まっていたとしても。
女子選手はそのことを気にするし、摂食障害になってしまう人もいる。私にも、引退した後に、「実は摂食障害だった」と打ち明けてくれた友達が何人もいる。これも競技団体が対処するべき問題だと思う。競技団体にメンタルヘルスの専門家がいて、クラブレベルでサポートしてくれれば、もっと体操選手は健康的になれるはずだ。
選手仲間の温かい歓声
東京五輪における私の成績はといえば、試合前に前十字靱帯を損傷して、棄権しなければならなくなってしまった。でも、段違い平行棒の予選で11秒間だけ演技をした。けがはショックだったけれど、五輪にきちんと「出場」したかったのだ。
ウオーミングアップの後、何人かの選手に話し掛けてみた。バイルズもその1人だ。けがをして落ち込んでいることを話すと、「どんな演技になろうと、あなたは立派なオリンピアンだ」と言ってくれた。カナダのエリー・ブラック選手も励ましの言葉をくれた。すごく感動した。
膝に負担にならないように、とても簡単なことしかできなかったけれど、どうにか11秒間ほほ笑みながら演技を終えることができた。私の組は進行が遅れていたから、私が舞台に上がったのは最後の最後で、アリーナにいた全選手が私に喝采を送ってくれているのが分かった。本当にかけがえのない瞬間だった。
2022年にはコモンウェルス・ゲームズ(英連邦競技大会)がある。そのときは友達や家族の前で演技したい。大きな大会でジャマイカの国旗を背負い、愛する人たちの前で体操ができたら、私のキャリアにとって夢のようなエンディングになるだろう。