女性の活躍を妨げる「ガラスの天井」を破るのは、男性の仕事だ
MEN’S ROLE IN GENDER EQUALITY
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<大卒労働者の約半分は女性なのに、経営者は10%以下。職場の男女平等を実現するカギは男性が握っている>
アメリカでは、現在も男女の賃金に平均18%の差がある。つまり、男性が1ドルの賃金を得ているとしたら、女性は82セントしかもらっていない。非白人女性に限定すると、この差はもっと大きくなる。
女性が大卒労働者の約半数を占めるようになって久しいが、相変わらずこうした賃金格差が存在し、企業の経営幹部に女性が占める割合も低い。昨年末の段階で、スタンダード&プアーズ(S&P)500種企業のうち、女性CEOがいる企業は7.8%にすぎなかった。
なぜ「ガラスの天井」を破るのに、こんなに長い時間がかかるのか。
ハーバード・ビジネススクールでジェンダー・イニシアチブのディレクターを務めるコリーン・アマーマンと、同校のボリス・グロイスバーグ教授(経営学)は共著『グラス・ハーフ・ブロークン』で、女性の進出を妨げる構造的な問題と、それを取り除く方法を論じている。このうち問題解決に男性が大きな役割を果たせることを論じた部分を、一部編集して紹介する。
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セクハラ被害に声を上げる「#MeToo(私も)運動」が拡大して以来、職場における女性の地位を見直すことは、新たな重要性と緊急性を帯びている。だが大幅な意識向上により企業の組織改革が進む一方で、さまざまな業界の男女双方から懸念の声が上がっている。
ハラスメントの加害者だと疑われることを恐れて、男性が女性と仕事をしたがらなくなるのではないか、というのだ。女性のメンターになったり、アドバイスをしたり、仕事上の友達関係にならないようにするのではないか──。
仕事で女性と密接に協力することを嫌う男性は、当然ながら女性同僚のキャリアにダメージを与える可能性がある。だが男女平等に無関心な男性も、女性の地位向上を妨げる場合がある。その一方で、男性が女性のアライ(味方)として、平等に向けた闘いに加わる場合もある。
現在、この闘いは岐路にある。業界にかかわらず、企業の経営幹部に占める女性の割合は1990年代からほとんど変わっていない。だが女性の進出と専門職に就く機会拡大を求める闘いで、男性は傍観者を決め込んでいたわけではない。