欧州で議論呼んだスイスのスキーシーズン開幕 予約はやはり少なめ
スイスはスキー場全体の1割がオープンしており12月最初の週末には、さらに営業開始するところが増える予定だ。 © Switzerland Tourism swiss-image.ch/Christof Sonderegger
<欧州全体でスキー観光を認めないようにとイタリアやドイツが呼びかけるなか、スイスは独自路線を貫いて──>
ヨーロッパにスキーの季節がやってきた。クリスマス休暇(年末年始)は、いつもなら多くの人たちが自国や近隣国のスキーリゾートで過ごすが、今季は新型コロナウイルス第2波到来のため、人の移動は少なめだろう。
フランスはクリスマス休暇期間中、国内スキー場でのスキーは不可としている(11月26日時点)。ドイツとイタリアは自国のみならず、周辺国のスキー場を閉鎖してほしいと提案している。これに対し、オーストリアはいまのところ難色を示している(ちなみに今春、感染を広めた同国スキーリゾート地イシュグルの住民の約半数は新型ウイルスの抗体を保有しているという)。
スイスは厳格な感染予防措置をしたうえで原則営業可能だ。通常なら、ドイツ、フランス、イギリスなどから大勢がスキーにやってくる。すでに一部のスキー場がオープンしたスイスの状況はどうなっているだろうか。
感染予防策守って受け入れ
スイスにも新型コロナウイルス第2波が到来している。1日あたりの新規感染者数が11月初めにピークを迎え、いまは減少傾向だ。一部の地域がロックダウンしており、その他の地域では感染予防措置に従いながら生活している。
11月末の時点で、世界経済フォーラム(ダボス会議)で有名なダボス、冬期オリンピックの開催地サン・モリッツ、4千メートル級の山々に囲まれたサース・フェーなど世界的に知られる場所を含め、スキー場全体の1割がオープンしている。12月最初の週末には、さらに営業開始するところが増える予定だ。
予防策については、すべてのスキーリフトや屋内エリアでのマスク着用、チケットのオンライン購入推奨、接触追跡アプリの利用などをゲストに絵も使ってわかりやすく説明するスキー場もある。駐車場やゴンドラ、スキースクール、レストラン、ホテルやアパート、ウェルネスセンターなどでの対策を、それぞれ何ページにもわたってまとめた資料をウェブサイトに載せているスキー場もある。
予約は国内在住者中心
クリスマス休暇の予約はすでに入っている。国内の新興ニュースサイトNau.chによると、10月末の時点で、昨年の同時期の予約に比べ19%少なかったという。また、スイスの幼稚園から高校には、ウィンタースポーツに親しむことを奨励する意味で2月を中心に2~3週間の「スポーツ休み」があり(地域により日程は様々)、この期間の予約は、昨年の同時期比で28%も減少した(呼び方は異なるが、ヨーロッパ諸国の学校には2月に休暇がある)。
スキー場でいま予約を取ったのは、おそらく国内に住む人ばかりだろう。現在、ドイツではすべての出張および私的な旅行(国外観光旅行も)を避けることが要請されているし、フランスでも外出制限が実施されており、旅行目的の移動は認められていない。
冬季全体としても、あまり盛り上がりそうにない。スイス政府観光局は、2年前(2018~19年の冬)と比較し、都市部および山間部の宿泊は31%減少すると推定している。昨シーズン、スイス全国のスキー場は、新型コロナウイルス第1波を理由にシーズン終了前に閉鎖しなくてはならなかったが、昨シーズンと比べると7%の増加にはなりそうだという。