Kビューティー、2020年のキーワードは「MOVING」 ビッグデータから見たコロナ時代のコスメトレンド
マスク着用で化粧品の売れ筋に変化
また、2020年といえば忘れられないのが「コロナ」である。今年のキーワードにもあったように、マスクの着用に伴う売れ筋商品の変化が大きかった。
特に、スキンケアでは、長時間マスクが肌に触れていることから、肌荒れに悩む人が増えるようになった。そのため、肌の鎮静効果が高い商品が前年比30%以上も売り上げアップしたという。
また、リップやファンデーション商品は「持続性」「落ちにくい」という特性をもった商品の売り上げが伸びている。さらに、マスクを着けていると、顔の半分が隠れてしまうため、露出している部分に集中して化粧をする傾向にあり、アイメイク用品の人気が高まっている。アイシャドーやマスカラもナチュラルなものより、派手に仕上がる商品の売り上げが伸びた。
今年のデータで驚いたのは、20~30代の若い層がアンチエイジング商品を求める傾向である。もともと韓国女性は美容への執着が強く、アンチエイジング商品の人気が高いが、20代からすでに「予防と未来への投資」という考えが高まっているようだ。
また、本来中高年向け商品である抜け毛防止シャンプーが20代女性に売れている点も注目を集めた。薄毛で悩む女性が増えているが、若いうちから頭皮を守ろうという考えが浸透しはじめている。
最近では、男性もスキンケアだけでなくメイクをする人が増え、男性用コスメ商品もたくさん売り出されている。オリーブヤングビックデータ「メンズケア部門」では、今年初めて色付きのリップクリーム商品が上位に入った。
女性のメイク用リップほど濃い色付きはしないが、K-POPアイドルのように顔色が良く見える自然な赤みが特徴である。また、ジェンダーレスをコンセプトとした男女兼用のスキンケア商品もあり、これらの商品はパッケージがシンプルで、性別に関係なく好まれるデザインという共通点がある。
コロナが影響? 健康食品が34%も売上アップ
また、コロナの影響で健康を気にする人が増えたようだ。ビックデータによると、コロナの自粛期間が本格的に始まった頃から、健康食品の売り上げが34%もアップしている。
これまでも、高麗人参・ビタミン・乳酸菌など体にいいとされるものが配合された商品はヒットする傾向にあったが、最近では「目」「肝臓」など特定の部位に特化した健康食品に人気が集まっている。
この健康志向ブームに乗って、オリーブヤングは3年以内に健康食品の売り上げを今年の2倍にする目標を発表している。トレンドを素早くキャッチし売り上げに繋げていくスタイルは、韓国の得意とするところで、このフットワークの軽さがKコスメの世界的ヒットの理由の一つだろう。
このようなデータや今年の振り返りを目にすると、一年の終わりをしみじみと感じてしまう。2020年は、コロナという誰も経験したことのない世界規模のパンデミックが襲い、それがあまりにも大きかったため、どのデータ結果を見てもその影響が色濃く表れている。
来年の今頃には今年よりもポジティブな影響をデータから読み取れる、きっとそんな1年になっていることを願っている。