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日本人に足りない「思考技術」を育てる方法は?

2020年11月10日(火)17時30分
船津徹

氾濫する情報に流されないためにできること(写真はイメージ) Xesai-iStock

<クリティカルシンキングとはよく言われますが、これこそ「答えのない時代」を迎える子供達に欠かせないスキル。フィジカルな接触を避けるのが当たり前になった世の中で、インターネットの情報がもたらす効果は計り知れません。親から子へ、情報の本質について「検証」する方法を教えましょう>

2019年にOECDが世界79カ国・地域の15歳を対象として行った国際学習到達度調査(PISA)によると、日本人の子どもの「読解力」は15位と、前回調査時の8位から大幅に順位を落としました。

PISAは「読解力」の定義を「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、取り組む力」としています。

ポストコロナで求められる能力

「いかに社会が変化しようと、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する能力を育む。」文部科学省が学習指導要領の理念として掲げている提言です。

この文章はPISAの「読解力」の定義とそっくりです。両者が求めている力は具体的に何かと言うと、これまで日本の学校教育でほとんど指導されることがなかった「クリティカルシンキング」と呼ばれる思考技術です。

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、思い込みやバイアス(偏見)を排除して物事の本質を見抜く思考、既成概念にとらわれず自由にアイデアを発想する思考、周囲の意見に流されず自分にとって最良の答えを導き出すための思考技術のことです。

新型コロナウィルスのパンデミックによって、世界中の人々が生き方や働き方を見つめ直すことを余儀なくされています。不透明な時代を生きる子どもたちが自分らしく自己実現を図っていくためには、これまでの常識の枠を越えて、自分にとってベストな選択を導き出す思考法を鍛えておくことが不可欠です。

「答えのない時代」を迎える中で「自分が何をしたいのか分からない」「自分はどう生きたいのか分からない」「自分の強みが分からない」など、将来の夢が描けない若者が増えています。私はその一因として「思考技術」を家庭や学校で学んでいないことがあると考えています。

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