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社会で活躍するための「健全な競争心」を育むヒント

2020年07月21日(火)16時35分
船津徹

アメリカでは初心者であっても試合に出して真剣勝負を経験させる FilippoBacci-iStock

<「競争」を避けてばかりいても、受験、就職、転職...この世の人生は厳しい競争の連続です。アメリカ人家庭に学ぶ、子どものメンタルタフネスとチャレンジ精神を育てる手段とは?>

日本で競争心が強い人と聞くと、他人を踏み台にしたり、勝つためには手段を選ばない貪欲な人という、やや否定的なイメージが伴います。一方、アメリカで「competitive/負けず嫌い」といえば、成功や勝利への執着が強い粘り強い人と、肯定的に見られる場合がほとんどです。

アメリカ人は競争が大好きです。自分が競争に参加することも、競争を見ることも好きです。競争が生活のあらゆる場面に浸透しているので、アメリカ人家庭では、ごく当たり前に、子どもを幼い頃から競争に参加させます。競わせてチャレンジ精神を育てるのがアメリカの子育ての特徴です。

初心者でも試合を経験させるのがアメリカ流

アメリカ人家庭の多くは、子どもが5〜6歳になると、何かしらの競技スポーツに参加させます。まだ身体の発達が十分でなく、ルールもよく分からない初心者の子どもであっても、親はお構いなしでサッカーチームやバスケットボールチームに参加させます。

日本では子どもがスポーツチームに入ってもしばらくは基礎練習が中心ですが、アメリカではいきなり試合に出して真剣勝負を経験させます。細かい技能は二の次。まずは実践を通して競争の楽しさを味わわせるのです。

「小さな子どもを競争させるなんて可哀想!」と思うかもしれません。しかし市場原理を重視する競争社会アメリカで生き抜くには、子どもの頃からたくさんの競争を経験させて、競争慣れさせておくことが必要なのです。

競争経験が少ないと、ストレス、プレッシャー、失敗、敗北などのマイナスの刺激を過剰に怖がるようになり「失敗するなら、やらない方がいい」と、物事に対して消極的な態度が形成されてしまうことがあります。競技スポーツへの参加は「チャレンジ精神を育てる」ための手段なのです。

勝者となってトロフィーを手にする成功体験は、さらに高い目標に向かってチャレンジを続ける向上心を育ててくれます。また敗者になった時の悔しい思いは、敗北をバネに飛躍する力や勝つために何が必要なのかを考える力など、勝利以上に多くのことを教えてくれます。

子どもの競技スポーツの目的は、相手を打ち負かす優越意識を植えつけることではありません。勝利というゴールに向かってあきらめずに努力を継続することで得られる価値を教えるためです。競技スポーツは「健全な競争心」を育てる最高のツールとアメリカでは考えられているのです。

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