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コロナ休校による「学力ロス」を防ぐには?

2020年04月28日(火)17時50分
船津徹

AzmanL-iStock

<子どもと向き合うのに、今ほどまとまった時間が取れることは滅多にありません。学力を維持するサポートだけでなく、自宅待機中こそ、子どもの「強み」を伸ばすことを意識してみてください>

新型コロナウィルスによって世界中の子どもたちが自宅待機を余儀なくされています。全米50州のうち、少なくとも31州が今学年度末(5月末)までの休校を発表しています。(4月20日現在) アメリカでは6月から2ヶ月以上の長い夏休みに入りますから、新学年から学校が再開できたとしても、多くの子どもたちは「半年間」学校に通えない状況になります。

サマースライド以上の学力ロスが発生する

アメリカで学年が入れ替わる夏休み明けになると、子どもたちの間に「サマースライド」と呼ばれる学力低下現象が起こることが知られています。NWEAリサーチ社が2015年に行った調査で、夏休み中に学習活動に従事しなかった子どもは、前学年で1年間(実質180日)かけて獲得したリーディング力の20%を失い、算数力の27%を失うことが分かっています。

新型コロナウィルスの長期化によって、ほとんどの学校が「半年間」休みになりますから、子どもたちが夏休み明けに直面する学力ロスも、サマースライドとは比較にならないくらい大きなものになることが予想されます。

長期休暇明けの学力ロスはアメリカに限ったことではありません。日本でもコロナ騒動の収束後に、自宅待機期間中に何もせず遊んでばかりいた子どもと、家庭でコツコツと学習を継続してきた子どもの間に、大きな「学力差」が生まれることは明白です。

自宅待機に伴う学力ロスを防ぐために、すでに全米の学校でZoomや学習アプリを活用したオンライン授業がスタートしています。またサマースライドを最小限に抑えるために、多くの学校が夏休み中もオンライン授業を継続することを検討しています。

コロナで学力を後退させない方法は?

日本では自治体によってオンライン授業の実施状況に大きな差があるようですが、オンライン授業の有無に関わらず、自宅待機中の学力ロスを防ぐには、家庭でも学校と同じ生活リズムで学習活動に取り組むことが何よりも大切です。

学校に通っている時と同じ時間に起き、同じ時間に朝食を食べ、学校の授業と同じ時間に勉強に取り組むのです。親にとっては負担が増えて大変ですが「ホームスクーリング=家庭教育」を実践するチャンスと捉え、子どもと楽しく学ぶ工夫をしてみてください。

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