「残された時間は10年間」──生きる伝説ジェーン・フォンダに聞く、気候変動とアメリカ
Bringing Fire Drill Fridays to LA
「金曜日の防火訓練」のリーダーを務めたフォンダ(中央)の真っ赤なコートは運動のシンボルに JOHN LAMPARSKI/GETTY IMAGES
<70年代のべトナム反戦運動から活動を続けるジェーン・フォンダは82歳の今もデモの先頭に立つ>
ジェーン・フォンダは生きる伝説だ。ハリウッドの映画一家に生まれ、アカデミー主演女優賞を2度受賞。他の大物映画スターと違い、社会活動家としても有名だ。べトナム戦争の反戦運動から、長年力を入れてきた女性の権利運動まで、その存在は社会変革のシンボルとなっている。
昨年末には一時的にワシントンに居を移し、環境保護団体グリーンピースが組織した「金曜日の防火訓練」という抗議活動のリーダーを務めた。週に1度、議員たちに気候変動対策と環境保護分野への公共投資を柱とするグリーン・ニューディール法の成立を要求する運動だ。参加者は数百万人に達し、フォンダはホアキン・フェニックスなど、他のセレブと共に逮捕された。
現在は運動の舞台をカリフォルニアに移し、ロサンゼルスを皮切りに州内各地で抗議活動を開始したフォンダに、本誌記者が話を聞いた。
――カリフォルニア州は気候変動の抑止とグリーン・ニューディール法の実現について、アメリカ全体をリードしていけると思うか?
カリフォルニアの環境意識と現実の間には大きな差がある。代替エネルギーとか電気自動車とか、需要側(消費者)としての私たちはとても進歩的。でも、石油生産は全米トップクラスで、新しい油田の開発とシェールオイルの掘削の許可を何千件も出し続 けている。これは何としても止めなくちゃ。
――ハリウッドは気候変動問題でどんな役割を果たせる?
一人一人が自分の役割を果たすべき。ハリウッドの人間、特に俳優は社会にアピールする力があるのだから、それを使えばいい。それに組織の力を加えれば最高。私は単独では行動しない。ワシントンに行くと決めたとき、すぐグリーンピースに連絡した。
――ワシントンでの反応はどうだった? 希望を感じた?
最高だった。最初はうまくいくかどうか分からなかった。年老いた映画スターがワシントンに来て、毎週金曜日に何かして、帰ったというだけで終わるかもしれなかった。
でも2~3週間のうちに、はっきり分かった。何かのきっかけをつくれたなって。若者たちはグレタ・トゥーンべリが率いる「フライデーズ・フォー・フィーチャー」を始めたし、グリーンピースはとても勇敢な、大きなアクションを起こした。
全米中から人々が集まった。私たちが直面しているのは、集団的な反応が必要な集団的な危機。これまで何十年間も劣化し続けてきたコミュニティーを再建する必要がある。