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「残された時間は10年間」──生きる伝説ジェーン・フォンダに聞く、気候変動とアメリカ

Bringing Fire Drill Fridays to LA

2020年04月02日(木)19時50分
ニューズウィーク日本版編集部

穏健なやり方ではもう間に合わない。石油会社は遅くても1970年代から、自分たちが地球の一部に壊滅的な打撃を与える可能性に気付いていた。でも彼らは嘘をついた。たばこ会社と同じやり方で真実を隠した。

実際、彼らはたばこ会社と同じPR会社と契約していた。目的は疑いを生み出すこと。それができれば勝ちだと、彼らは言った。「この問題には2つの側面がある。あの人たちはそう言うが、ほかの人たちはこう言っている」と。

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1970年にニューヨークで開かれた反戦集会で KEYSTONE-FRANCEーGAMMA-KEYSTONE/GETTY IMAGES

重要なのは、この問題に2つの側面なんてないということ。科学者は口をそろえて、破滅的事態だと言っている。もし70年代にそのことを知っていたら、穏健なやり方で化石燃料からクリーンで持続可能なエネルギーに移行できたかもしれない。でも、私たちは時間を無駄にした。

いま残された時間は10年間。もう穏健なやり方では間に合わない。たくさんの勇気と大胆な行動が求められている。

――あなたは長年、社会活動に力を入れてきた。ほかの人を助けたいという思いに火が付いた瞬間を覚えている?

私は当時(70年代初め)、フランス人の男性と結婚して、フランスに住んでいた。幼い子供もいて。その頃、べトナムで戦った米軍の脱走兵がパリで反戦運動をやっていて、彼らは医者や歯医者のことで助けてくれるアメリカ人の同胞を探していた。

そのうち8人ぐらいのグループが、私に助けを求めてきた。彼らは私がべトナム戦争のことを何も知らないので、本を1冊くれた。短い本だったので、すぐに読み終え、「ああ、何てこと」と思った。私は政府を信じ、兵士たちが戦っているのは、正しいことのためなんだと思っていた。父が第2次大戦で従軍していたし。私たちの国が悪いことをするために兵士をどこかに送っているなんて、考えていなかったので、本を読んで衝撃を受けた。

正直に言って、あのときは悩んだ。結婚していたし、小さい子供もいた。だから、一晩で全てひっくり返らなくても、自分の人生が変わるとそのとき思ったし、夫と別れるしかないと思った。

理由は、第1に彼はフランス人だから。第2に彼は皮肉屋で、私と行動を共にするタイプじゃなかったから。それで1年後、私はフランスからロサンゼルスに引っ越して、反戦運動に飛び込んだ。

――あなたがワシントンの「金曜日の防火訓練」で着ていた赤いコートは運動のシンボルになった。あの服がインパクトを与えた理由は?

分からない。私はワシントンでグリーンピースの人たちと会って、彼らが全てお膳立てしてくれたから。「運動の名前は『金曜日の防火訓練』でいこう。あなたには消防服を着てほしいけれど、それだとちょっとやり過ぎだから、とにかく何か赤い服を着て」って言われた。

それでニーマンズ(高級デパートのニーマン・マーカス)に行ったら、赤い服はこのコートしか売っていなかった。だから、それを買った。

――あの服をオークションに出す気はある?

いいえ、次の金曜日に着なくちゃいけないから。


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