最新記事

子育て

「きょうだい平等」の精神は上の子にとって不平等

2020年03月31日(火)17時20分
船津徹

上の子にとって下の子の存在は「親の愛情を奪い合うライバル」 Tom-N-iStock

<仲の良いきょうだいに育てたいのなら、平等に育てる必要はありません。はっきり区別して育てましょう。平等に愛情を注ぐのでなく、その時に一番愛情を必要としている方に集中的に与えることがポイントです>

新型コロナの感染拡大によって、たくさんの子どもたちが自宅待機を余儀なくされています。「家にこもってばかりで外で遊べる環境がないと、きょうだいゲンカが増えて大変!」という悲鳴があちこちの家庭から聞こえてきます。

ほとんどの親は「きょうだいは平等に育てるべきだ」と思っているでしょう。ところが「きょうだい平等の精神」こそが、ケンカの絶えない、仲の悪いきょうだいに育ててしまう一番の原因なのです。

「きょうだい平等の精神」は、上の子にとって受け入れ難い不平等です。なぜなら上の子は生まれてきた時は一人っ子だったからです。親の愛情は自分一人で100%独占するのが当たり前という前提で生まれてきたのです。

下の子ができた途端に「弟(妹)ができたから、これからはきょうだいで愛情を50%ずつ平等に分けます」と言われても納得できるものではありません。もちろん親はそんな言い方はしないでしょうが、上の子はそう感じるのです。

親の愛情が100%から50%へと一気に減額されてしまった上の子は「親から愛されている」という自信がガラガラと崩れ落ちていくのを感じるのです。

赤ちゃん返りは愛情を取り戻すための手段

生まれてきた赤ちゃんがママの胸でおっぱいを飲んでいる姿を目にした時、上の子は「大好きなママが取られた!」と強いジェラシーを感じます。同時に「ママの愛情を取り戻さなければならない!」と必死で考えます。そして「自分も赤ちゃんになればいいんだ!」という素晴らしいアイデアを思いつくのです。

下の子が生まれると、上の子に指しゃぶり、おもらし、夜泣き、親へのまとわりつき、グズりなどの赤ちゃん返りが起こりますが、これらは全て親の愛情を取り戻すための行動です。上の子にとって下の子の存在は「親の愛情を奪い合うライバル」なのです。

親の愛情を取り戻すために「良い事」をしてくれれば楽なのですが、ほとんどの子どもは赤ちゃん返りをして親を困らせます。もちろん本人は悪い事をしているという意識はなく、ただ親の関心を自分へ引き寄せたい一心です。

この時、上の子の寂しい気持ちを理解せず「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから面倒かけないで!」と突き放してしまうと、上の子の自信は喪失し、その反動で、母子分離ができなくなったり、環境の変化を過剰に怖がるという臆病な性格が形成されることがあります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること