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新型コロナウイルス

新型コロナウイルスが飛び火したスイス マスク姿なくても店頭は品切れ 

2020年02月28日(金)19時00分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

2月27日、チューリッヒ中央駅にて。マスクを着ける人はほとんど見られない Photo:Satomi Iwasawa

<ついにWHOのお膝元まで広まった新型コロナウイルス。現地在住の筆者が見た、スイスの初期対応とは?>

スイス初の感染者は、ミラノで感染

先週末、イタリア北部で新型コロナウイルス感染者の死者が3人に達し、一部の町が封鎖されたりベネチア・カーニバルなどが中止になったことは、隣国スイスでも報道された。イタリア北部での死者は増加(28日朝の時点で17人)しているが、25日夕方、スイスで初の新型コロナウイルス感染者が発生したと公表された。

患者は、イタリア北部と陸続きのスイス南部テシン州(ティチーノ州)に住む70歳の男性。スイス連邦保険局によると、この男性は、2月中旬にミラノ近くで行われたイベントを訪れて感染したという。テシン州国境からミラノまでは電車で1時間の距離だ。男性は帰宅後、症状が見られて自宅待機し、熱が出たときには病院には行かず診療所に電話して薬を処方してもらった。数日経っても症状が改善しなかったため、24日にマスクをして医療機関を訪れ検査を受けた。

現在は、テシン州の病院で隔離治療を受けていて、かなり回復している(陽性と判明していなければ、もう退院できる状態)という。

連邦保険局は、呼吸のトラブル、せき、熱の症状が出たら、すぐに診療所や病院には行かずに自宅待機して、医師またはコロナウイルス・ホットラインに電話するようインターネットやフライヤーなどで呼びかけている。この男性は、模範的に行動したといえる。

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感染症の約80%は手から感染するため、手洗いは重要だと、日刊紙ターゲス・アンツァイガーには「正しい手洗いの方法」が掲載

イタリア経由での感染が多い

イタリア北部とテシン州は、人の往来が多い。観光で行き来する人ももちろんいるが、イタリアに住み(イタリア人やスイス人など)、国境を越えて、物価高で収入が高いテシン州で働く人たちは多い。イタリアからテシン州に働きにやってくる人は、毎日7万人に上るという。テシン州はスイスの中では温暖で観光業が盛んなため、そのうち、3分の2の人がサービス業従事者だ。

そして27日、ほかの地域で4人の感染が公式に確認された。全員が病院に隔離されて、良好な健康状態だという。

新たに感染した4人は、数日前にミラノを訪れて帰宅したジュネーブ州の男性、イタリア北部に近いスイス内にスキー休暇に行った子ども2人、1週間前にベローナ(ミラノとベニスの中間)に出張した26歳の男性。

感染の決定は、2度の検査(2度目は国の研究所で実施)を通して行われている。現在、感染の疑いがあり最終の検査結果を待っている人は、報道によると以下の人たちだ。1週間前にミラノを訪れた女性、やはりミラノを訪れた若い女性と、この女性と一緒に旅行した若い男性、フランスに住み越境してスイスで働いている49歳の男性。

若い女性は約100人の子どもが通う託児所で働いていて、ミラノから戻って感染がわかる前も働いていたため、託児所は2週間の閉鎖を即決し、いま、子どもたちは自宅待機となっている。

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