最新記事

子育て

かつて北欧も「育休が取りずらい国」だった 世の父親へ育児参加を勧めるこれだけの理由と秘策

2020年02月04日(火)17時45分
船津徹

育休改革を待たずに、子どもと遊ぼう!

「子どもとの時間をもっと持ちたい」そう父親が思っていても、今の日本で実行するにはかなり勇気がいります。上司や同僚の目が怖くて育児休暇を取ることに踏み切れないという父親が多いのではないでしょうか。

実は北欧の国々も、以前は「育休が取りづらい」環境だったのです。父親の育児参加を後押ししたのが「パパ・クオータ/Daddy Quota」と呼ばれる、育児休暇の一定期間を「父親だけ」に割り当てる制度です。

ノルウェーの場合、育児休暇は最長で54週間(賃金全額保証で44週間/8割保証で54週間)取得可能ですが、うち6週間は「パパだけ」に権利があります。もし父親が育児休暇を取らなければ、この権利は消滅してしまいます。

「パパ・クオータ」によって「有給で休めるなら、育児休暇を取らない手はない!」と、勇気ある父親が育休を取り始めました。育休を取る男性が職場で白い目で見られることなく、子どもとの時間を充実させている姿を見て安心した周囲の男性が「なら自分も取ろう」と後に続いたのです。

日本でも2020年度中の実施を目標に、男性国家公務員の育児休暇取得を促す制度の検討が始まりました。ただ男性の育児休暇が社会に浸透するには、北欧の国々がそうであったように、長い時間がかかります。

子どもの成長は法整備を待ってくれません。今子育てをしている父親は「できる範囲で最大限の育児参加する」ことを強くお勧めします。子どもと本気で遊び、本気でぶつかり合い、子どもの成長を共に喜ぶ経験は、「父子の絆」というかけがえのない宝物を与えてくれます。

【参考記事】産休・育休はしっかり取るが吉!? 早期復帰の方が仕事のチャンスが減るという研究結果
【参考記事】なぜ北欧の人々は、短時間労働でも裕福な暮らしができるのか?


profile_Pic_toru_funatsu.jpg[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。


20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送-ゲーツ元議員、司法長官の指名辞退 買春疑惑で

ワールド

ウクライナ戦争「世界的な紛争」に、ロシア反撃の用意

ワールド

トランプ氏メディア企業、暗号資産決済サービス開発を

ワールド

レバノン東部で47人死亡、停戦交渉中もイスラエル軍
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること