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犬でも猫でもげっ歯類でもOK ペットのフリーズドライを請け負う業者を訪ねた

Freeze-Dried Pets Are Forever

2019年12月10日(火)17時10分
ジェイク・メイナード

悲しみに寄り添う仕事

バウザー夫妻が到着したときの様子を見れば、それは明らかだった。

ハトを取り出す手品師のように、華々しい披露が行われ るのかと思ったら、実際は淡々としたものだった。工房のドアは普通に開いていて、戸口にキースが立っていた。視線はテーブルの上に置かれたチャンスに注がれている。「すごい」と、キースは言った。「チャンスがいる」

でも妻のエイプリルは、戸口に足をかけた途端に回れ右をした。「だめ」と彼女は言った。「無理よ」。ドアが閉まった。

「そう、あれがチャンスですよ」と、ルパートは言った。「かわいくなったでしょう?」

キースはチャンスにそっと近づき、さまざまな角度から眺めてから体に触れた。エイプリルもようやく中に入ってきたが、最初はチャンスを直視できなかった。

「泣かないで」とルパートは言い、エイプリルの肩を優しくたたいた。「あなたが泣きだしたら私も泣いてしまう」

「いい仕事をしてくださって」と、エイプリルは言った。「悪い仕上がりを期待していた部分もあったんだけど」

チャンスのフリーズドライ化については、夫婦の間で温度差があったのだという。もしエイプリルがひどく悲しい気分になるようなら、クロゼットにしまい込んで出さないことで2人は合意していた。

キースは片方の腕でチャンスを大事そうに抱えてこう言った。「私が死んだら棺桶にはこの子を入れるって、いつも言っているんだ。どこに行くにも一緒だったからね」

エイプリルはキースを見て言った。「この子を連れて行けるのは、先に(天国に)行ったほうよ」

©2019 The Slate Group

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