実は効果は科学的に解明できていない──大麻よりやさしいCBDという熱狂
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アクシム・バイオテクノロジーズは CBD10ミリグラムを含むガムの製法特許を取得し、販売している。同社は近く、CBDとカフェイン、朝鮮人参、メラトニンやトリプトファンを含む汎用的な「健康ガム」も発売予定だ。CBDには抗菌・抗炎症作用も期待されることから、同社は歯肉炎や歯周病予防の歯磨き粉やマウスウォッシュの臨床試験も予定している。
どういう症状に、どの投与法がふさわしいかを検証する臨床試験も行われている。ウィスコンシン医科大学のヒラードによれば、今も世界で500を超える臨床試験が進行中だ。中には、CBDで稼いだ企業が資金を出しているケースもあるという。
例えばカナライフ・サイエンシズという会社は、癌の化学療法に伴う副作用や肝臓病、慢性的な皮膚病、さらには末期癌の患者にCBDを投与する臨床試験を計画中だ。「末期癌に立ち向かうには強力なハンマーが必要だ」と、同社のディーン・ぺトカナスCEOは言う。だから「骨髄に1万ミリグラムのCBDを注入し、癌細胞の増殖を抑えられるかどうか検証したい」。
研究者たちは今後何年もの時間をかけ、科学的な手法を駆使してCBDの摂取にまつわる混乱を解消していかなければならないだろう。結果が出るまでは、医師も消費者も手探りで歩んでいくしかない。
「CBDを使った治療は未開の分野だ」と、ペトカナスは言う。「私たちはまだ足を踏み入れたばかり。抗生物質で言えば(ぺニシリンが見つかった直後の)1930年代だ」
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