自閉症児の「爆発」を60秒前に予測できるウエアラブル
New Autism Wristband
写真はイメージ WAVEBREAKMEDIA/ISTOCKPHOTO
<突然起こる攻撃的行動を身体データで60秒前に予測! 新開発のリストバンドが患者や家族の助けに>
自閉症の人は時に、突然かんしゃくを起こしたり自傷や他傷などの行動に出たりすることがある。彼らの攻撃的行動はいつ起こるのか? それを予測できるウエアラブル機器が、研究者らによって開発された。
リストバンド型のこの装置は、心拍や皮膚温度、発汗や腕の動きを常時監視。攻撃的行動が起こる60秒前に、84%の精度で予測が可能だと、開発者らは言う。
米疾病対策センター(CDC)によれば、アメリカでは現在、自閉症スペクトラム障害の子供は59人に1人とされる。彼らは神経学的機能が正常な一般の人々とは異なる行動を取り、話し方や非言語的コミュニケー ション、社会的能力や反復行動などに特徴が見られる。
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自閉症の支援団体「オーティズム・スピークス」によれば、症状の強さや困難の度合いは一人一人異なる。高度な能力を持ち自立して生活できる人もいれば、症状が深刻で常に支援が必要な人もいる。
リストバンド開発に当たり、ノースイースタン大学(ボストン)の研究チームは攻撃的行動を起こす傾向のある自閉症児20人にバイオセンサーを装着し、87時間超にわたり行動と身体的変化を記録。攻撃的になる直前の特徴をデータから読み取った。
開発者で同大学計算行動科学研究所のマシュー・グッドウィン所長は、「小さな刺激ですぐ攻撃的になる自閉症児もいる」と指摘する。「保護者に前もって注意喚起ができれば、不意打ちを予防できるし、自閉症児をリラックスさせて周りの人々の安全を確保することもできる」
グッドウィンによれば、攻撃的行動に出る自閉症児を持つ家族は、誘発の原因が分からず、いつどこで爆発するか分からないと怯えている。彼らは「自主的自宅監禁」を選び、映画にも買い物にも公園にも子供を連れて行かないようにしている。
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