キアヌ・リーブスの輝きがあせない理由
Watching Keanu for 30 Years
00年に出演した『ギフト』は、一転してホラー映画風で、リーブスはアメリカ南部に住み、妻に暴力を振るう荒くれ者を演じた。『コンスタンティン』(05年)では、悪魔払いを生業とする探偵になり、『ジョン・ウィック』シリーズでは愛犬家の殺し屋を演じている。
30年にもわたりマイペースにスターの座を維持してこられたのは、男くささと、繊細さと、ミステリアスなオーラが同居する独特の魅力のおかげだろう。
その原点は、初期の出演作の1つ『マイ・プライベート・アイダホ』(91年)に見ることができる。孤児のマイク(リバー・フェニックス)と、市長の息子スコット(リーブス)は、それぞれの事情を抱えながら男娼として日銭を稼いでいる。
天涯孤独のマイクは家庭の温かさを探し求めながらも、生活が厳しく、大きなストレスを受けると激しい眠気に襲われる病を負っている。スコットは父親に反抗して不良生活を送っているが、生来の優しさから何かとマイクを気に掛けてやる。
リーブスもフェニックスもまだ20歳代だったが、既に男くささと、繊細さと、ミステリアスな雰囲気にあふれていた。それは身近なイメージが重視される現代のハリウッドスターには決定的に欠けている要素だ。
最近作られる映画が、人間の心の機微に無関心なスーパーヒーロー系映画ばかりであることも、ミステリアスな大スターが生まれない大きな理由の1つだろう(リーブスは長年、マーベル映画への出演を打診されてきたが断ったとされる)。
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『マイ・プライベート・アイダホ』でリーブスの美しさと演技力が最高潮に達するのは、マイクとスコットが砂漠で夜を明かすシーンだ。たき火を囲んで語り合いながら、マイクはおずおずとスコットに愛を告白する。リーブス演じるスコットは、横になりながらそれをリラックスした調子で聞いている。そしてマイクの気持ちには応えられないことを間接的に伝えつつ、「来いよ」と腕を広げて、「一緒に横になるだけだけど」とマイクを受け入れ、その孤独を癒やしてやる。
そんなリーブスの誠実な「聞く姿勢」と温かいまなざしは、女性相手でも存分に発揮される。『マトリックス』でネオの案内役を務めるトリニティーへの畏敬のまなざし。そして『恋愛適齢期』(03年)でダイアン・キートン演じるエリカ・バリーに向ける欲望に満ちたまなざし。
50年代半ばの人気劇作家エリカは海辺の別荘で恋愛の喜びを取り戻す。相手は自分の娘と付き合っていた63歳の独身プレイボーイ、ハリー・サンボーン(ジャック・ニコルソン)と、20歳下の医師ジュリアン・マーサー(リーブス)だ。
心臓発作を起こしたハリーは、エリカと別荘にとどまらざるを 得なくなり、初めて同年代の女性の魅力に気付く。一方、黒いタートルネックを偏愛するジュリアンは、エリカと出会った瞬間に恋に落ちる。
リーブスの演技は、女性の目線と見事に同化している。女性がどう世の中を見ていて、どう自分を見てほしくて、どう欲望を正当化するのか理解している。
ジュリアンと食事をしているうちに、エリカの顔と首筋が紅潮する。彼の表情に疑いようのない(でも決して無礼ではない)性的な興味と恋心を見て取り、彼女はたじろぐ。
同年代の女性に興味はないのかという話になり、ジュリアンは自分の深い感情に戸惑っているかのように言葉を探す。「こんなふうに......感じる女性に会ったことはない。初めて経験することが起きると、それが何なのか、確かめたくならない?」
彼は身を乗り出し、柔らかい表情になって、エリカの首筋と肩の境目にキスをする。
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