カネのかかるミニマリズム! 安いがインスタ映えする「小さな結婚式」はお得か
Tiny Weddings Are Upon Us
屋外や少人数など費用を抑えた結婚式プランは数多いが… NESTYDAーISTOCK PHOTO
<短時間で予約も簡単な挙式が流行。でも見せ掛けだけ豪華な張りぼては本当に必要?>
想像してほしい。あなたの結婚式が、準備時間を含めほんの1時間半で済むとしたら......。
15分の挙式の後は、新郎新婦と、双方2人ずつのゲストと共に、ケーキ1切れとスパークリングワイン1杯を味わう。その後は 30分ほど、ドライフラワーがアートのように飾られたスタジオで写真撮影もできる。ただ、終了時間は厳守。次のカップルが到着するまでに、会場を片付けなければならないから。費用は総額で約2000ドル(21万5000円)だ。
これこそが、ジンガーマンズ・コーンマン農場(ミシガン州) での「タイニーウエディング(小さな結婚式)」。今年の秋は、9月の3日間で12組の予約を受け入れる。同様に各シーズンで期間を定め、結婚式企画を実施する予定だ。
契約は信じられないほど簡単。筆者が予約フォームを試すと、希望日時とケーキの種類を選び、支払い画面にたどり着くまでに20秒しかかからなかった。
移動式礼拝堂で行う「タイニーチャペルウエディングズ」や、野外会場の「マイ・タイニーウエディング」など、この手の式場はほかにもある。ニューヨーク・タイムズは17年に、「マイクロウエディング」を提唱。結婚式費用が高騰するご時世だからこそ、優先順位を見極めて費用を抑えた式を、と勧めている。
マイクロウエディング専門のプランナーも多い。「コロラド・マイクロウエディング」では、数百種類の「少人数向け」会場を選択肢として提示。サウスカロライナ州のリゾートでは、20人以内のゲストで5000ドルからのプランを用意している。
大人数の地味婚ができる
マイクロウエディングが昔ながらのアメリカ式結婚式の「少人数版」だとしたら、タイニーウエディングは役所での単純な入籍手続きの「派手版」だ。スピーディーで効率的な式を求めるカップルに、余計な出費をさせるための巧妙な方法に見える。
ひねくれた見方をすれば、タイニーウエディングはエッフェル塔の前で記念撮影するためだけにパリを訪れるようなもの。インスタグラム式の成功だ。ジンガーマンズのウェブサイトには、センスのいい会場やドレス、素敵なアルバムなどの写真が並ぶ。大量消費文化の定義における立派な結婚式そのものだ。
「立派な結婚式」を小規模かつ短時間化する過程で、本格的な宗教儀式を行ったり、友達と乾杯したり、ディナーやダンスを楽しんだりする空間は失われる。2000ドルはおしゃれ(に見える)結婚式にしてはお得な値段かもしれないが、それでも1分当たり20ドル、1人につき300ドル以上はかかる。