育児する男性はカッコいい? セレブも夢中なパパ業のすすめ
BBC制作のドラマ『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』で知られるベネディクト・カンバーバッチは、女優で舞台演出家のソフィー・ハンターとの間に、3歳ともうすぐ2歳になる2人の息子をもうけている。英国の名門パブリックスクールのハーロー校出身で、紳士的な考えを持つベネディクトもまた、家庭ではマイホームパパとしての役割を楽しんでおり、女性と育児に対して理解を示す発言を繰り返している。
ベネディクトは子どもを持ったばかりの親に対するアドバイスを求められた際、とれるときに睡眠をたっぷりとること、さらに、自分のための時間を確保する必要性があることを茶目っ気たっぷりに訴えている。
「父が毎朝、新聞をトイレに持ち込んでいた理由が今ならよく分かるよ。父さん、本当によく分かったよ。今の時代だったら、全てのデバイスを持ち込んで仕事までやってしまうことだね。すごく衛生的なのは間違いないだろう」
ベネディクトは「子どもたちには絶対に共学に通わせる」と明言。全寮制の男子校を出たベネディクトならではのこだわりである。
いずれのセレブパパにも共通しているのは、人前でも堂々とパパ業を楽しんでいるということだ。抱っこ紐姿やベビーカーを押す彼等の姿は、育児する男がカッコいいというアピールになっている。
イクメン先進国のスウェーデンは、政府の育児支援が鍵
ところでイクメンは実際、増えているのだろうか。たとえば育児休暇を取得する男性の割合はここ数年増加傾向にはあるようだ。
日本では、昨年の厚生労働省の発表によると育児休暇を取得した男性は2017年度は前年度よりも1.98ポイント上昇の5.14%で過去最高。育児への男性参加が一般的と喧伝されているイギリスでの男性の育児休暇取得率が2009年の調査において55%であり、日本はまだまだイクメン後進国のようだ。しかしさらにイクメンを増やすべく、厚労省は2020年までに男性の育休取得率を13%にする目標を掲げている。
イクメン先進国といわれるスウェーデンの場合はどうか。スウェーデンでは、育児休暇は赤ちゃん一人に対し、両親で合わせて合計480日間付与されることが国で決められており、父親の約90%が育休を取得しているといわれている。父親は最低でも90日間の育児休暇を取らなければ、休暇手当てが出ないシステムになっているので、育休を取らないという選択肢自体ナンセンスとされている。こうした制度がイクメンを増やす動きを後押ししていると言えるだろう。
スウェーデンの父親と母親がそれぞれに取得する休暇日数の割合はどうなっているか。2017年は母親が72.4%に対し、父親は27.6%。2007年では母親が79.1%に対して父親が20.9%で、年々ジリジリと父親の育休取得日数が増えている。
育休取得期間は、80%の給与が政府から支払われる(上限1日989スウェーデンクローナ、約1万1600円)ほか、職場復帰後は育児のために労働時間を短縮できるなど、さまざまな点で政府から支援が受けられるスウェーデンは、現時点ではやはり育児環境が最も整った国だといえそうだ。
簡単に真似できることではなさそうだが、北欧の育児を重んじる考え方が、少子化の進む先進国の国際基準になる日がいつか来るだろうか。