謙虚で情熱的で最高に「ゴージ」!! リスナー急増の番組で気付かされるゲイの多面性
Curious Jonathan
おかげで『ジョナサン・バン・ネスと好奇心』は7月初め、アメリカのiTunesポッドキャスト・ランキングで第1位を獲得する人気となっている。もちろんその最大の魅力は、ゲストを「ハニー」と呼び、「キュート」とか「ゴージ(ャス)」を連発するバン・ネスの軽妙トークだろう。時にはそれが軽妙ではなく、軽薄に響いてしまうこともあるが、バン・ネスは失敗から素早く学び成長してきた。
例えば、シリア内戦が話題になったとき、彼はシリアの独裁者バシャル・アサド大統領の妻アスマの洗練されたファッションセンスを褒めた。だが、それが恐ろしく不適切だったことに気が付くと、率直に間違いを認めてすぐに発言を取り消した。
実はかなり謙虚で勉強家
ゲストの発言を聞きたい人は、しゃべり過ぎるバン・ネスにイラつくこともあるかもしれない。ファブ5の料理担当アントニ・ポロウスキが登場したときは、「君が話すのをやめたら、ぼくの話をするよ」と言われてしまった。
バン・ネスがしゃべり過ぎさえしなければ、ファブ5がゲストのときのポッドキャストは聞き応えがある。これまでにポロウスキ以外にも、カルチャー担当のカラモ・ブラウンとファッション担当のタン・フランスが登場しているが、『クィア・アイ』で人気者になるまでのそれぞれの人生の紆余曲折は、ファンでなくても引き込まれる興味深い内容だった。
バン・ネス自身はアリゾナ大学に進んだが、奨学金給付の条件だったチアリーディングを辞めたため1年で中退。有名ヘアスタイリストになる夢を追い掛けることにしたという。彼のポッドキャストを聞いていると、(使い古された表現だが)人間は一生学び続けることが大事なのだなとしみじみ思う。それだけ彼の知識は豊富で幅広い。
だが、彼はそれをひけらかさない。むしろ多くを知らないふりをする(たぶん)ことで、リスナーに寄り添うとともに、ゲストに物事を分かりやすく説明させる。そして相手をリラックスさせて、いつの間にか感動的なエピソードを引き出す。
ハニー、その謙虚で情熱的なアプローチって、とんでもなくゴージ!
【参考記事】ナチュラルで本物、これがゲイのセクシュアリティの世界
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[2018年7月31日号掲載]