謙虚で情熱的で最高に「ゴージ」!! リスナー急増の番組で気付かされるゲイの多面性
Curious Jonathan
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<人気番組でブレークしたジョナサン・バン・ネスのポッドキャストが全米ナンバーワンになった理由>
ネットフリックスで今年リブートされるやいなや大人気となったリアリティー番組『クィア・アイ/外見も内面もステキに改造』。料理やファッションを得意とするゲイの5人組「ファブ5」がトラブルを抱える視聴者の自宅を訪問して、本人も家も見違えるほど変身させるという番組だ。
ファブ5のうち美容担当のジョナサン・バン・ネスは、もともとロサンゼルスで2つのヘアサロンを経営するヘアスタイリスト。だが、そのほかにも隠れた特技がある。どんなにお堅い専門家からでも、分かりやすくて興味深い話を引き出すインタビュー力だ。
その力がいかんなく発揮されているのが、彼がパーソナリティーを務めるポッドキャスト『ジョナサン・バン・ネスと好奇心(Getting Curious With Jonathan Van Ness)』だ。スタートしたのは15年末だが、今年2月に『クィア・アイ』の放送が始まって以来、このポッドキャストのリスナーも急増しているという。
週1回更新される約30分のプログラムは、毎回1つの話題についてバン・ネスが専門家にインタビューするというもの。例えば「ソーシャルメディアのせいでアーティストはビジネスマンになる?」「サウジアラビアはキュートな国になったのか」「ルネサンス時代のビヨンセは誰?」など、真面目なテーマにおちゃめなひねりを加えたものが多い。
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登場するゲストも学者から芸能人までいろいろで、バン・ネスが肩肘張らないおしゃべりの形で素朴な疑問をばんばんぶつけていくから、リスナーも大いに楽しみながら知的好奇心を満たすことができる。
実は筆者は当初、バン・ネスのことをあまり好きではなかった。『クィア・アイ』のシーズン1を見たとき、「いかにもゲイっぽい」しゃべり方や身振りが、わざとらしく感じられたからだ。『クィア・アイ』という番組自体、「いかにもゲイっぽい」仕事に就く5人を登場させることで、同性愛者に対する偏った固定観念を助長するような気がしてならなかった。
だが少なくともバン・ネスに関しては、6月に公開されたシーズン2を見て考えが変わった。あの快活さは彼の素の姿だと分かると、一気に好感が湧いたのだ。さらにポッドキャストで、彼が折に触れ、自分の性的指向が人生にどう影響を与えてきたかを語るのを聞いて、彼のことを大いに見直した。
『クィア・アイ』にない魅力
イリノイ州の保守的な町に育ったバン・ネスは、ゲイであるが故に激しいいじめに遭ったという。だからだろう。ある日のポッドキャストで、「どうすればLGBTQ(性的少数者)の若者の自殺は減らせるか」をテーマにするなど、LGBTQコミュニティーが抱える懸念に真剣に向かい合ってきた。
と同時に、ポッドキャストは、ゲイであることだけが彼のアイデンティティーではないことを教えてくれる。ゲイだって宗教的カルト、心臓発作、アルメニア人虐殺、そしてアメリカの対中貿易赤字といった問題に関心があるのだ。それは『クィア・アイ』に欠けているゲイの多面性に気付かせてくれる。
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