最新記事

性教育

フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実際に授業へ潜入してみた

2018年11月30日(金)18時50分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

性行為=「思いやり」と認識をし、心身ともにコミュニケーション力を磨くべき(写真はイメージ) eclipse_images-iStock

<フランス人は、なぜ自信がある人が多いのか......? その疑問の答えを求め、「愛」と「尊敬」を教えるフランス性教育の現場へフランス在住記者が潜入>

フランスで生活をしていると、多くのフランス人は自分、そして他者を尊重することが上手だと感じる。そして、それこそが彼らを「自信」があるように見せているようだ。どのようにしたら、そんなふうに自分も他者をも愛することができるのか? あるフランス人女性に訊いてみたところ、その秘密は「セックス」にあると、こっそり耳元で教えてくれた。

さっそく気になって調べたところ、フランスの性教育では「愛と尊敬」を学ぶという。一体どんな授業なのか。その真相を確かめるため、パリの高校で行われた性教育の授業を受け、フランス人の家庭の性教育事情を調査した。

パリの高校の「性教育」授業に参加

ある雪の降る11月下旬の朝、パリの住宅地にある高校を訪れた。

2限目の鐘が鳴ると女子生徒たちが教室に集まり、テーブルを囲んで円形に座る。集まった11人の学生は、15~16歳の女子生徒たち。まるでパリ社会の縮図のように、アラブ系、アフリカ系、インド系、アジア系の学生がバランスよく混ざっている。授業が始まると、友達同士でウケを狙った発言をしたり、下を向いて寝るふりをしたり、生徒たちからはこれから始まる「性教育」を受けることへの、照れや戸惑いが伝わってくる。

この2時間の性教育では、身体の仕組み、避妊の方法、LGBTQ(性的少数派)への理解、カップル間の関係の築き方から、ポルノグラフィーやマスターベーションまで総括的な内容をカバーする。

授業中の約束事は、「みんな一人一人意見が違うから尊重すること、クラス内で話したことは外では内緒にすること」だ。

授業を担当するのは、家族計画センター(プラニング・ファミリアル)から派遣されたクリスティ―ヌ・エリチエ。ゆったりと構え、安心して話せるお姉さんタイプだ。

nww-seikyouiku-18112902.jpgパリ市内の学校で性教育を行うクリスティーヌ・エリチエ (Photo: Ayana Nishikawa)

クリスティーヌは早速、避妊の説明から始める。実際のピルを見せるため時計回りに渡し、生徒に避妊法について質問すると、あちこちから「コンドーム、ピル、避妊パッチ、IUD(子宮内避妊器具)」と名称が飛び出す。ある生徒は「緊急避妊用ピルは、できるだけ早く摂取するべきなのよ」と得意げな様子で語った。

そのあと、説明は女性の身体の構造へと進む。子宮、卵巣のイラストが見せられたあと、クリスティ―ヌが取り出したイラストは、「クリトリス」を説明した図だ。生徒たちは知らなかったようで、きょとんとしている。クリスティ―ヌが「女性の身体で、一番刺激に敏感な部位なのよ」と、優しく丁寧に説明すると、ある生徒が「じゃあ、オーガズムを感じるところ?」と興味を持って問いかけた。

【参考記事】歴史の中の多様な「性」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること