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冷え対策をしているのになぜ改善しないのか? 薬剤師に聞く

2018年11月26日(月)15時00分
高垣育(薬剤師ライター)

あなたはどのタイプ? 体質に合った対策を Mima88-iStock

<さまざまな冷え対策を試しているのに改善しない。それはなぜか。理由は冷えにはタイプがあり対処法がそれぞれ異なる点にあった。薬剤師が解説する>

気温が下がってくるとつらさが増す冷え。この時季になるとさまざまな冷え対策を試してみる人がいるかもしれない。ところが「友達には合っているのに自分には合わないみたい」、そんな経験はないだろうか。東洋医学において冷えは、その人の体質によって3タイプに大別される。

「気」が不足して温め力が低下した「気虚(ききょ)タイプ」、血流が悪くなって体をすみずみまで温めることができない「瘀血(おけつ)タイプ」、体内のすべての「気」の源、腎の「気」が不足して温める力が不足している「腎陽虚(じんようきょ)タイプ」だ。

気虚タイプの人には気虚タイプ用、瘀血タイプの人には瘀血タイプ用のそれぞれに合った冷え対策がある。だから気虚タイプの人がいくら瘀血や腎陽虚タイプの人向けの対策をしても冷えの改善を感じづらい。これが「口コミでは大絶賛の冷え対策なのに、自分にはいまいち」となってしまう理由だ。

ではあなたの冷えがどのタイプなのか。そしてどのように対処をしたら良いのかを見ていこう。東京薬科大学薬学部中国医学研究室准教授で漢方薬局「東西薬局」代表薬剤師、医学博士の猪越英明博士に話を伺いながら解説する。

夏でもエアコンの風が苦手で特にお腹が冷える、気虚タイプ

東洋医学において「気」は体を動かすエネルギーのこと。また、体表や粘膜を守るバリア機能、そして体を温める役割をしている。

では「気」は体の中でどのように生み出されているのかというと、私たちが摂った食事から作られる。だから胃腸が弱く、栄養をうまく取り入れることができない人では「気」が不足し、その結果、体を温める力が弱まり冷えを起こす。これが気虚タイプの人の冷えだ。

自覚症状としては次のような症状がみられる。

□夏でもエアコンの風に当たりたくない
□寒いのがとにかく苦手
□お腹が冷たい、冷えている
□食欲があまりない
□胃がもたれやすい
□便がゆるかったり、逆に便秘したりなど便通の異常がみられる

ドラッグストアなどで手に入れやすい漢方薬にはどのようなものがあるのか。

「気虚タイプの冷えがある場合は『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』で胃腸を温め、胃腸のはたらきそのものを整え、高めていきます。もし胃がもたれやすい、便通の異常があるという場合は『六君子湯(りっくんしとう)』を選ぶと良いでしょう」(猪越博士)

日常生活での冷え対策としては生もの、甘い物、南国産の果物を避けるよう心がけることがすすめられる。いずれも体を冷やす作用があるためだ。

「果物を召し上がるなら南国などの暖かい地域でとれるものではなく、比較的寒い地域でとれるリンゴなどがおすすめです。甘い物を摂る場合は白糖を避け、代わりにハチミツや黒糖に置き換えるなどの工夫をしてみてください」(猪越博士)

飲み会では冷たい飲み物を避けたい。ビールやハイボールなどの冷たい飲み物は初めの1杯にして、あとは常温のワインやお湯割りなどを選ぶように心がけよう。

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