最新記事

結婚

リアルに夫は要らなくなった? 結婚相手に自分を選んだ彼女たちの言い分

2018年10月05日(金)12時10分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

40歳で自分婚したラウラ・メシさん Contenido Digital-YouTubeより

<密かに広がりをみせる「自分婚」。ナルシスト、寂しい人、頭がおかしい......なんて心無い批判に、当事者は何を思うのか>

誰かと結婚するのはもちろん個人の自由だが、近ごろ、ほかの人とではなく、自分自身と結婚を誓う「セルフ・マリッジ」をする女性が欧米で目立ち始めた。

ウェディングドレスを着て写真を撮るという疑似的なものではなく、親友数人の前で自分への生涯の愛を誓ったり、親や友達をたくさん招いて本格的に自分1人のための結婚式を開いたりと、実際に結婚というしきたりに従う。とはいえ、法的には認められていない。それでも、本人たちは既婚者になったと、とても満足気だ。

自分婚したイタリア女性やイギリス女性が話題に

「セルフ・マリッジ」は「ソロガミー」とも呼ばれている。自分と結婚したことで世界のメディアを最近大きく賑わしたのは、イタリアの女性ラウラ・メシさんだ。

2017年9月、40歳で自分婚したメシさんは、70人のゲストを招いて盛大な結婚式を挙げた。筆者はその様子の一部をテレビで見たが、メシさんが自分自身を抱きしめて愛を誓い、母親が「すごく感激しました!」と喜んでいたのが印象的だった。フィットネストレーナーのメシさんは12年つきあっていた男性との関係が終わった38歳のとき、40歳になるまでにパートナーが見つからなければ自分婚すると決めていた。

2014年に自分と結婚したイギリス人の写真家グレイス・ゲルダーさんも、話題になった女性だ。結婚後、少ししてからのゲルダーさんの寄稿を読むと、7年間深い関係の人がいなかった彼女は、あるワークショップに出席したことがきっかけで、自分の価値観、自分の心からの願い、自分が優先したいことについて、はっきりとした取り決めをもつのはいいことだと考えるようになり、結婚に至ったと説明している。

ゲルダーさんの結婚に対して、ツイッターやフェイスブックでネガティブなコメントを書いてくる人も少なからずいたそうだ。自分がしたことはよいと信じているが、彼女なりのやり方がすべての人にとって意味があるわけではないと受け入れることができたという。大事なのは、自分にとって意味があるということだった。

メシさんの結婚にも、ポジティブな意見ばかりが届いたわけではなかった。ナルシストではないか、寂しい人だ、頭がちょっとおかしいのではといったコメントも寄せられたが、メシさんも、「セルフ・マリッジ」は誰にでも向いているわけではないと思うと話している。「ある程度のお金があって、応援してくれる人たちがいて、ちょっとクレージーでなければ、自分と結婚できないわね」とのことだ。

【参考記事】ムスリムに恋をしたら結婚できる? 今さら聞けないイスラム教15の疑問

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 5

    ハン・ガンのノーベル文学賞受賞はなぜ革新的なのか?…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:独占取材 カンボジア国際詐欺

特集:独占取材 カンボジア国際詐欺

2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影