睡眠不足はあなたを孤独にし、魅力を奪い、人に孤独を伝染する──研究結果
よそよそしい態度は他人から見て魅力減
さらに、そのようなよそよそしい態度は、その人が本来持っていた人間的な魅力を伝わりにくくしてしまう。たとえ一瞬だけの交流でも、良質な睡眠をとれている人からは「あの人、なんだか感じ悪い!」と思われてしまう可能性があるという。
同研究結果では「睡眠不足の人間と交流した人々は、それがたとえ1分ほどの短い交流であっても、自分が孤独だと感じやすい。つまり、睡眠不足によって引き起こされた当人の社会的孤立の感覚が他の人にも感染するということだ」と述べている。
充分な睡眠をとれている人が友好的な態度で接しようとして、前述のようなよそよそしい態度を取られたら「自分は嫌われているのだろうか?」「何か悪いことをしたかな?」と寂しい気持ちになるのは自然なことだ。睡眠不足による孤独感は、本人のみならず、関わる人に大なり小なり孤独の影響を及ぼすということだ。
睡眠不足時のこのような変化について、米ヴァージニア州シャーロッツビルの神経学者で『ザ・スリープ・ソリューション』の著者W・クリストファー・ウィンターは、睡眠不足時の脳はサバイバル・モードに突入し、生命維持にとって優先順位の低い行動をカットしようとするのだと米タイム誌の取材に対して説明している。その結果、多くの場合社交的でなくなるのだそうだ。
さらに、サバイバル・モードであるため、些細なことにもオーバーリアクションで反応しがちになる。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の臨床心理学者で睡眠療法の専門家であるジェニファー・L・マーティンは、「(いつもより過敏に反応する結果)周囲と衝突しやすくなり、人間関係の満足度が低くなる」と解説している。
では、何時間くらい眠るのが健康にベストなのだろう。英ガーディアン紙などが報じた最新の研究結果によると、あまり長すぎると今度は早死のリスクが高まるそうだ。同研究では、10時間以上眠っている人は脳卒中による死亡リスクが56%、心血管疾患による死亡リスクが49%高くなることが明らかになった。ちなみに、成人のベストな睡眠時間は7~8時間だという。個人差はあるはずで難しいところだが、短すぎても長すぎても健康に良くないということだ。
いずれにせよ、身体的な辛さとともに、寂しい気持ちになり、喧嘩も多くなって人間関係が悪化するとなると、睡眠不足がいかに有害かおわかりいただけるだろう。