睡眠不足はあなたを孤独にし、魅力を奪い、人に孤独を伝染する──研究結果
熟睡しないと人間関係も悪化する?(写真はイメージです)bymuratdeniz-iStock
<人に囲まれ愛されていた人も睡眠不足のせいで自ら孤独に飛び込んでしまう危険性がある......ちょっと怖い研究結果が発表された>
社会的動物である人間にとって、孤独は何よりも恐ろしく危険なものだ。孤独や社会的孤立のもたらす健康リスクへの認識も少しずつ広まっている。
そして先日、睡眠不足が人を孤独にさせるという興味深い研究結果が発表された。もともと人に囲まれていて愛されていた人でも、睡眠不足のせいで自ら孤独に飛び込んでしまう危険性がある......というちょっと怖い内容だ。
自ら孤独に突き進み、人が近寄ってくるのが怖くなる
学術ジャーナル「ネイチャー・コミュニケーションズ」が発表した研究結果によると、睡眠不足の人は孤独を感じやすく、他者との交流に消極的になるそうだ。この注目すべき結果は、英ガーディアン紙やインデペンデント紙、CBSニュースなどが報じた。
同研究の上席著者で、心理学・神経科学が専門のカリフォルニア大学バークレー校教授マシュー・ウォーカーは「我々人間は、社会的動物です。しかしながら、睡眠不足のせいで社会から孤立してしまうリスクがあるのです」と述べている。
実験は、健康な若者18名を集めて、熟睡した後と睡眠不足の状態の2回に分けて実施された。複数の人間が画面に向かって歩いてくるビデオを被験者に見せ、「近すぎる」と感じたところでビデオを停止するよう命じた。睡眠不足の場合、熟睡できている時に比べて、画面の中の人たちがより遠い位置に人間が映っている時点でビデオを止めていたことがわかった。「近すぎる」と感じる位置は被験者によりばらつきがあるが、最も差の大きい被験者だと、熟睡時に比べ睡眠不足時は距離が60%も遠い位置だった。つまり、睡眠不足の時の方が他人と物理的距離を取りたくなるということだ。
さらに、睡眠不足の被験者の脳を実験中にスキャンしたところ、恐怖を感じる脳の部分が活発に動いていたこともわかった。人が近寄ってくるのが怖い、と感じてしまうようだ。
このように睡眠不足の状態では人と関わることに恐怖を感じるようになり、自ら孤独に突き進んでしまう。