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「生で食べればいい」にちょっと待った! 注目のブロッコリースプラウト

Eating Broccoli Sprouts Right

2018年08月21日(火)14時00分
デーナ・ダビー

生で食べるよりも…(写真はイメージ) AnnaRise-iStock

<抗癌成分は成長したものの100倍 でも「効能」を保つには高圧処理が必要>

ブロッコリーといえば、健康にいい野菜の代表格。なかでもブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)は、成長したものよりさらに健康によく、抗癌成分が10〜100倍多く含まれている可能性がある。

ただ注意点が1つ。この強力な成分は、調理の過程で完全に失われる恐れがある。でも、ご安心あれ。ある研究者グループが、健康にいい成分の多くを損なわないスプラウトの調理法を発見した。

生のスプラウトには、グルコシノレートという強力な成分が多く含まれている。これが体内で分解されてできる成分スルフォラファンは、癌や炎症の予防など人間の健康と疾患予防のさまざまな局面で効果が期待されている。

14年の研究では、スルフォラファンが中〜重度の自閉症の症状緩和に役立つことが分かった。社会性や言語能力の改善、同じ行為を繰り返す常同行動の軽減といった効果があるという。

【参考記事】ビーガン食しか出さない保育園 健康な体は作れるのか?

最近アメリカの化学学会誌ジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・アンド・フード・ケミストリーに掲載された論文によると、スプラウトを超高圧で調理するとグルコシノレートが最大85%残る。ゆでたり、電子レンジで調理したりした場合には、到底不可能な数字だ。

この論文の筆頭著者であるフリードリヒ・シラー大学イエナ栄養学研究所(ドイツ)のフェルカー・ベーム博士は、スプラウトの健康効果は定期的に食べることで最大限に発揮されると本誌に語った。「特に若者が摂取する習慣を身に付ければ、大きな効果がある」

スプラウトの栄養を生かすには、水で簡単に洗ったものを生で食べればいいと考えがちだが、それだけでは多くの細菌が残ってしまい、十分に安全とはいえない。「スプラウトは、細菌の数を減らすのが難しい形状をしている」と、ベームは指摘する。

成分を損なわずに殺菌するには高温より高圧で処理するほうが効果的だが、一般家庭でできるような作業ではないという。消費者向けの高圧処理済みブロッコリースプラウトも商品化されているが、現時点では幅広く流通しているわけではない。

それでも、この小さな野菜の健康効果と最適な調理法について噂が広まれば、消費者向け高圧処理品が近いうちに最寄りの健康食品店の陳列棚にも並ぶかもしれない。

【参考記事】遺伝子組み換えでもいい!? 魅惑のスーパートマトが若返りへと誘う

[2017年10月17日号掲載]

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