必ず「寝落ち」できる物語──異色の短編作家が紡ぐ5分で眠くなるストーリーの秘密とは
“I Had to Edit Out the Snake”
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<リスナーを自然な眠りに誘う人気作家フィービー・スミスが語った、5分で眠くなるアプリ向けストーリーを書く秘訣>
目が冴えて眠れない。寝返りを打っても、羊を数えても、一度明かりをつけてストレッチをしてもダメ──。そんな状況に陥ったある晩、筆者は「眠りを誘う物語」を聴いてみることにした。リスナーを自然な眠りに誘うことを目的とした短編を集めたアプリが存在するのだ。
疑い半分で聴き始めた筆者が、その抜群の効果を認識したのは翌朝目覚めたとき。イライラするほどではない程よい退屈さのおかげで、最後まで聴き終わる前に眠りに落ちていたのだ。
物語の舞台は列車であることが多い。車輪音のリズムや外の木の葉の色などの些細な事柄が、ひどく細かく説明される。
フィービー・スミスは、このアプリ「カーム」の専属スリープ・ストーリーテラーという肩書を持つ。カームは昨年アップストアで「アプリ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた人気アプリで、眠りを誘う物語のほか、瞑想用の物語なども数多く収められている。
スミスは、カームでもトップクラスの人気作品を執筆してきた。例えば、南仏のラベンダー畑を舞台にした『ブルー・ゴールド』は、感覚が麻痺するほど退屈なストーリーが24分間続く。
「見なくても香りで分かる」と始まると、「その間違えようのない芳香が嗅覚を満たし、五感にしみ出し、たちまちうっとりするような香りで全身から力が抜けていく」といった具合だ。
良質な眠りを誘う物語を書くコツは何か。本誌ローラ・ベネットがスミスに話を聞いた。
スミスは一風変わった場所で寝る体験を書く旅行ライターでもある WWW.PHOEBE-SMITH.COM