週休3日にしたら幸せになると判明──「労働時間=仕事の成果」ではない
求められた成果を短い時間で達成してくれたスタッフの報酬を、減らす必要などないですよね? Szepy-iStock
8割近くがワーク・ライフ・バランスに満足
現在、世界の多くの地域では週5日勤務で週休2日が一般的だが、まだ休みが足りない、と思っている人も少なくないだろう。
そこで実際に週休3日(1日8時間労働で週4日勤務)を試験的に導入してみたという企業がニュージーランドにある。2カ月にわたり実施したのち、社員の意識調査などを行った結果を同社がこのほど発表した。社員のワーク・ライフ・バランスが向上しただけでなく仕事の生産性も上がったため、このまま週休3日制を続けていく方法を模索中だという。
試験的に週休3日制を導入したのは、ニュージーランドで信託や遺言、不動産を管理する企業パペチュアル・ガーディアンだ。社員240人に対して、3月と4月の2カ月間、週あたりの勤務時間を40時間(1日8時間労働で5日)から32時間(1日8時間労働で4日)に減らして勤務してもらった。その間、給与は変更せず、週5日と同じ金額を支払った。試験が終わったところで、研究員2人が社員の意識調査を行った。
実施前である昨年11月に同社が従業員に調査した際には、ワーク・ライフ・バランスがうまく取れていると答えた人の割合は54%だった。週休3日制の試験終了後に再び調査を行ったところ、取れていると答えた人の割合は24パーセント・ポイント増加して78%に達したと英紙ガーディアンは伝えている。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、増えた休日は家族と一緒に過ごしたり、エクササイズしたり、料理したり、ガーデニングをしたりして過ごした人が多かったという。
生産性を上げるために工夫
オークランド工科大学で人事管理を教えるジャロッド・ハー教授は、就労時間の短縮により、いかにして生産的に仕事を片付けるかという意識が強く働いたようだと説明する。会議の時間はこれまでの2時間から30分に短縮され、集中して仕事をしたい時間には、話しかけられたくないという意思を同僚に示すためのサインも編み出された。「時間の無駄がどこかを見つけ出し、『より一生懸命に』ではなく『より賢く』仕事をこなした」とハー教授はニューヨーク・タイムズに述べた。
実際に、社員はこれまでよりクリエイティブになり、出社率は上がり、遅刻は減り、早退や長期休暇はなかったという。仕事の成果そのものは、週4日勤務のときと週5日勤務のときとで変化はなかった。