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フランス社会

LGBT最前線を行く、フランスの次なる課題とは?

2018年07月19日(木)16時10分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

パリで開催されたゲイ・プライド。コンコルド広場からレピュブリック広場まで、街中熱気で包まれた(Photo:Sameer Al-Doumy)

<ホモフォビア(同性愛嫌悪)による攻撃が目立つ中で、先日開催されたゲイ・プライド。今後の主な課題は「出産の権利」はじめ...>

気温約30度、快晴の夏空のパリ――。コンコルド広場には、レインボーカラーの旗を振る多くのミレニアル世代の若者の熱気とパワーで包まれた。6月30日、LGBTの権利擁護を求めるゲイ・プライドに参加するために集まった彼らの多くが、「Free Kiss(フリーキス)」、「Free Hug(フリーハグ)」と書かれたプラカードを掲げ、「平等と自由と博愛」の精神を参加者と分かち合おうとしていた。

41回目となる今年のパレードには、フランス国内外から50万人以上が集まり、「差別を叩きのめせ。日常のように、スポーツでも!」(パリでは今年8月、LGBTのスポーツベントが開催予定)を今年のスローガンに、LGBTに対する差別の抗議や、権利を訴える社会運動の場と化した。

2013年に同性婚が認められたフランス。特にパリ市は世界有数のLGBTフレンドリーな観光地を目指すなど、LGBT(同性愛者などの性的少数者)に積極的な姿勢を一貫してきた。パレード当日は、トラック87台がコンコルド広場を出発、ルーブル美術館やシャトレを通過し、レピュブリック広場を目指すという、パリを象徴するコースを進んだ。大音量の音楽が流れるトラックの中で踊るドラァグクイーンに手を振る親子や、開放的にキスをする同性カップル、ルーブル美術館の壁によじ登って踊る人々など始終お祭りムードが漂った。

一見、これほどLGBTフレンドリーな印象のあるフランスで、彼らは今後フランス社会にどんな改革を求めるのか? 参加者に訊いてみた。

すべての女性に「出産の権利」を!

2歳になるリリーちゃんをベビーカーに載せて歩いていたカミーユ(仮名)は、自身の経験を語ってくれた。

「男性と性交渉はしたくないけど、子どもは欲しかった。この子を産むために、隣国ベルギーで人工受精の治療を受け、その後フランスに帰国して出産しました」

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リリー(右)と母親(中央)、リリーの叔母(左) (Photo:AmeerAlharbi)

また、中道右派のLGBTグループ「GAYLIB」の代表で、自身もレズビアンのカトリーヌは、こう主張した。

「20世紀の女性の権利における最大の偉業は、中絶の権利を得たことでした。21世紀においては、すべての女性が出産をする権利が認められるべきです」

フランスの現在の法律では、独身女性やレズビアンのカップルには人工授精・体外受精などの生殖補助医療(PMA)の権利が適用されない。PMAが許可されているのは結婚して2年以上で、不妊など医学的な事情のある男女カップルだけだ。エマニュエル・マクロン大統領の公約に沿って、現在PMAの適用範囲の拡大が見直されていることもあり、この日はその類のプラカードが数多く掲げられていた。

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