高等移民5万人を受け入れ再生図るデトロイト
砂漠化したアメリカの工業地帯の再興を移民に託すという計画が浮上しているが……
衰退の一途 人の寄りつかないデトロイトは優秀な移民の手を借りたい Joshua Lott-Reuters
ミシガン州のリック・スナイダー知事は、連邦政府に「今後5年間で破産した都市(デトロイト)に5万人の移民を受け入れる」という計画の認可を求める予定だ。ただし移民は誰でもいいわけではない。「科学やビジネス、芸術の分野でたぐいまれな能力または高等学位を持つ」人向けのEB-2ビザを取得した者だけ。高等移民受け入れの狙いは、自動車産業の衰退で「1950年代の180万人から70万人に人口の減少したデトロイトに暮らして」もらい、街を再生するのが狙いだ。
米リーズン基金のシーカ・ダルミアは、そのアイデアに懐疑的だ。米リーズン誌の寄稿文でダルミアは、「現代の移民は、荒れ果てた未開拓地の征服に自らの生き残りを懸ける開拓者ではない。確かに彼らは現地の人よりはるかに厳しい苦難に耐えることが出来るが、容易に騙せるような世間知らずではない。彼らには口コミのネットワークがあり、経済的社会的に快適な場所については常に情報交換をしている。ただ呼び寄せて結果を求めるのは難しい」と言う
移民は「万能薬」ではない
さらに、現行の法的な仕組みでは、到着した移民にデトロイトに残るよう強いることはできないという問題もある。自治体レベルで似たような計画を実施しようとしているカナダでもそうした問題が生じている。