最新記事

アメリカ社会

高等移民5万人を受け入れ再生図るデトロイト

砂漠化したアメリカの工業地帯の再興を移民に託すという計画が浮上しているが……

2014年1月29日(水)16時32分
ジョシュア・キーティング

衰退の一途 人の寄りつかないデトロイトは優秀な移民の手を借りたい Joshua Lott-Reuters

 ミシガン州のリック・スナイダー知事は、連邦政府に「今後5年間で破産した都市(デトロイト)に5万人の移民を受け入れる」という計画の認可を求める予定だ。ただし移民は誰でもいいわけではない。「科学やビジネス、芸術の分野でたぐいまれな能力または高等学位を持つ」人向けのEB-2ビザを取得した者だけ。高等移民受け入れの狙いは、自動車産業の衰退で「1950年代の180万人から70万人に人口の減少したデトロイトに暮らして」もらい、街を再生するのが狙いだ。

 米リーズン基金のシーカ・ダルミアは、そのアイデアに懐疑的だ。米リーズン誌の寄稿文でダルミアは、「現代の移民は、荒れ果てた未開拓地の征服に自らの生き残りを懸ける開拓者ではない。確かに彼らは現地の人よりはるかに厳しい苦難に耐えることが出来るが、容易に騙せるような世間知らずではない。彼らには口コミのネットワークがあり、経済的社会的に快適な場所については常に情報交換をしている。ただ呼び寄せて結果を求めるのは難しい」と言う

移民は「万能薬」ではない

 さらに、現行の法的な仕組みでは、到着した移民にデトロイトに残るよう強いることはできないという問題もある。自治体レベルで似たような計画を実施しようとしているカナダでもそうした問題が生じている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ガザ市の学校・市場を攻撃 少なくとも

ワールド

中国国家主席、モスクワ到着 ロシア公式訪問

ワールド

米FRB監察トップの選任巡り法案、超党派の上院議員

ワールド

ロシア・ベネズエラ、戦略的提携合意に署名 エネ・石
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中