最新記事

米大統領選

討論会の勝敗を左右するメモの活用法

2012年10月17日(水)17時42分
フォレスト・ウィックマン

 どれだけルールが細かくなっても、メモは常に物議をかもす。1992年の副大統領候補討論会では共和党候補のダン・クエール陣営が、民主党候補アル・ゴアの著書『地球の掟』を持ち込んで一説を読み上げたいと許可を求めた。するとゴア側は、代わりにジャガイモを持ち込めるのなら認める、と伝えた。クエールは当時、potato(ジャガイモ)のつづりを間違えたことで話題になっていたのだ。結局、両者とも持ち込みをやめることになった。

 うつむいてメモを見過ぎていると批判されたのはオバマが初めてではない。1984年の副大統領候補討論会では、民主党のジェラルディン・フェラーロがカメラや相手候補ジョージ・ブッシュの顔ではなくメモ帳ばかり見ており、まるでブッシュに怯えているようだと批判された。

 2004年の副大統領候補討論会では、メモを取る姿ばかりが目立っていた。共和党のディック・チェイニーと民主党のジョン・エドワーズは、ともに「せわしなくメモをとり続け、たまに用心深い目を相手に向け、すぐに視線をそらす」と言われた。ニューヨーク・タイムズの記者アレッサンドラ・スタンリーは「銀行でたまたま居合わせた見知らぬ2人がそれぞれ小切手にサインしているような光景だった」と書いた。

 候補者たちは普通、メモを他人に見せることはない。だが10月11日の副大統領候補討論会では、民主党のジョー・バイデンがなぜかカメラにメモを向けている写真が撮影され、インターネット上で広まった。彼のメモには箇条書きで、「エジプトの人々」「謝罪なし」などと簡潔に書かれているのが読み取れた。

© 2012, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中