討論会の勝敗を左右するメモの活用法
どれだけルールが細かくなっても、メモは常に物議をかもす。1992年の副大統領候補討論会では共和党候補のダン・クエール陣営が、民主党候補アル・ゴアの著書『地球の掟』を持ち込んで一説を読み上げたいと許可を求めた。するとゴア側は、代わりにジャガイモを持ち込めるのなら認める、と伝えた。クエールは当時、potato(ジャガイモ)のつづりを間違えたことで話題になっていたのだ。結局、両者とも持ち込みをやめることになった。
うつむいてメモを見過ぎていると批判されたのはオバマが初めてではない。1984年の副大統領候補討論会では、民主党のジェラルディン・フェラーロがカメラや相手候補ジョージ・ブッシュの顔ではなくメモ帳ばかり見ており、まるでブッシュに怯えているようだと批判された。
2004年の副大統領候補討論会では、メモを取る姿ばかりが目立っていた。共和党のディック・チェイニーと民主党のジョン・エドワーズは、ともに「せわしなくメモをとり続け、たまに用心深い目を相手に向け、すぐに視線をそらす」と言われた。ニューヨーク・タイムズの記者アレッサンドラ・スタンリーは「銀行でたまたま居合わせた見知らぬ2人がそれぞれ小切手にサインしているような光景だった」と書いた。
候補者たちは普通、メモを他人に見せることはない。だが10月11日の副大統領候補討論会では、民主党のジョー・バイデンがなぜかカメラにメモを向けている写真が撮影され、インターネット上で広まった。彼のメモには箇条書きで、「エジプトの人々」「謝罪なし」などと簡潔に書かれているのが読み取れた。
© 2012, Slate