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米社会10代「暗号セックスメール」解読の罠
子供が使う暗号メールを親が解読しても、子供のオーラルセックスや麻薬をやめさせることはできない
好奇心 携帯メールでなくとも子供はセックスに関する「実験」を行いたがる
4月22日朝、本誌の電子メールボックスに報道資料が届いた。「秘密のメール暗号:子供はあなたの目を盗んでセックスやドラッグをしているか?」と、資料にはある。その通り。それもあなたの目と鼻の先で。
資料によれば、解決法はセクスティング(自分の裸の写真を携帯電話で他人に送信する行為)の危険性とマナーの大切さについて2人の作家にインタビューすること――らしい。作家たちは、10代の子供がメールでセックスや薬物、悪い習慣についてやり取りする際の暗号解読も手伝ってくれる。例えば......
LH6.P911.8.Al Capone.
この暗号の意味は「セックスしよう(LH6、Let's Have Sex)」「警告―両親が部屋に向かっている(P911、Parents 911※911は緊急電話の番号)」「オーラルセックス(8)」「ヘロイン(AL Capone)」だ。
とんでもないメールだ。だがそれ以上にショッキングなのは、セクスティングという行為について嘆いたり、またセクスティングがいかにバカなことか10代の子供が分かっていないと仮定していること。昨年インタビューしたシアトル小児病院の青年期医学部長レスリー・R・ウォーカーによれば、10代の若者は裸の写真やきわどいメールを送ることが馬鹿げたことだととっくに気づいている。ほかの少女たち(常に少女たちだ)が仲間や相手によってさらし者にされるようなことは、自分たちにには起きないだろう、と考えているだけだ。
秘密メールを解読しても信頼を失うだけ
ウォーカーはまた、こういうテキストメールをする子供はかつてスピン・ザ・ボトル(ボトルを回して、ボトルの指した2人がキスする遊び)をしたり、みだらなメモを書いたり、テレフォンセックスを試したような子供たちと同じだと分析している。10代の子供たちは、どんなメディアやテクノロジーを使ってでもセックスに関する「実験」をしようとするものだ。
携帯電話が子供をセックス狂いにするわけではないし、暗号を解読したところで子供のオーラルセックスをやめさせることはできない。別の手段を見つけるだけだ(この報道資料を見た本誌スタッフは、「セックスが6でオーラルセックスが8なら、7は何なのかなんとなくわかる。でも若者は何番まで使っているんだろう?」と聞いてきた。別のスタッフによると答えは「全部」だ)。
ひわいなメールや写真を送るのを制限し、子供たちにお互いと自分自身を尊重するよう教えるのは大事だし、子供と性教育や人間関係、信頼、責任について話をすることもとても重要だ。だが親が「子供たちの言葉」で語りかけ、非道徳的な行為を止めさせられるなんて幻想に過ぎない。子供の新しいスキルを駆使して子供の携帯メールを解読したところで、信用を失い無視されるのがオチだ。
両親は子供がセックス狂いのヘロイン中毒者になるのを受け入れるべきだ、と言っているのではない。むしろその反対だ。性やドラッグ、責任ある行動といったテーマについてオープンかつ正直に話し合ってきた両親が育てた子供は、犯罪に手を染めることなくきちんと高校を卒業するだろう。
最近子供がヘロインに関する秘密のメールを送っていると怒り狂っても、ポジティブな効果は得られない。最良の方法は、小さいうちから頻繁にこういった大切なテーマについて話をすること。子供がヘロインに手を出しているかどうか調べるため、親がその携帯をこねくりまわす段階にいたっているなら、マナーに関するアドバイスなど何の役にも立たないが。