最新記事

アメリカ政治

企業献金「上限撤廃」がアメリカを壊す

2010年1月25日(月)18時13分
デービッド・ロスコフ(カーネギー国際平和財団客員研究員

 要するに今回の最高裁判決により、アメリカは地球温暖化対策や天然資源保全で世界のリーダー役を務めることが極めて難しくなった。医療の破綻など国内の重要課題を解決できる見通しは遠のき、対外政策ではアメリカ全体の国益より産業界の利害に沿って行動する傾向が強まるだろう。

 アメリカの国際的威信を支えてきた3つの柱の中で最も重要な民主主義が揺らげば、その悪影響はほかの2つの柱が揺らぐより大きいかもしれない。

 オバマ政権が目指しているように、前の政権の人権軽視の姿勢を是正することは不可能でないだろう。しかし、政治におけるビジネス至上主義が制度面でのお墨付きを得れば、アメリカ型経済モデルの欠陥を正すことは難しくなる。

 そして、世界の代議制民主主義の最も重要な開拓者であったアメリカが今日もその役割を担い続けられると主張することは、もはや不可能になる。

Reprinted with permission from David J. Rothkopf's blog, 25/01/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中