最新記事
ジェンダー

「一夫一婦制」は間違い? 生物の「性的進化」研究で分かったセクシュアリティーの科学的な真実

DIVERSITY THE NORM

2025年2月28日(金)16時16分
メレディス・ウルフ・シザー(本誌記者)

newsweekjp20250227050557-0ecd8ae120c3c0e9acc06ce98f702f39e1fd9007.jpg

性行為は子孫を残すためだけでなく多様な性表現を認めるべきだと語るレンツ MICHAEL SAVITZKY

──人間のセックスやジェンダーに関する伝統的な見解に対して、あなたが今回の本で言いたかったことは何か?

何百年も前から、世の中で主流の文化は私たちのジェンダーやセクシュアリティーについて強い規制をかけてきた。それで私たちの性的ポテンシャルは狭められた。異性愛だけが自然で、一夫一婦制だけが正しい在り方で、性行為はもっぱら繁殖のためにあると、私たちは教わってきた。それ以外の多様なジェンダー表現は異常で、家族をつくる正しい方法は1つのみだとも教えられた。そのせいで生物学者も、動物の世界も同じだろうと思い込んでいた。


でも技術や観察方法の進歩によって、今は動物の世界を、そして私たち自身をもっと客観的に観察できるようになった。それでようやく、今まで見えなかったものが見えてきた。セックスもジェンダーもセクシュアリティーも、みんな私たちの知る以上に多様で創造性にあふれていた。

──そうであれば制度としてのモノガミー(一夫一婦制)は無用の長物なのだろうか?

そうは言ってない。そもそも生物学は生き物の世界を正しく記述する学問であり、ああしろこうしろと指図するものではない。それに、動物界で見られる社会的モノガミーでは、たいてい両性の平等が重視されていて、子育てへの投資を通じて両性が強く結び付いている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラ車販売、3月も欧州主要国で振るわず 第1四半

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ビジネス

ECB、インフレ予想通りなら4月に利下げを=フィン

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中