「一夫一婦制」は間違い? 生物の「性的進化」研究で分かったセクシュアリティーの科学的な真実
DIVERSITY THE NORM
──人間のセックスやジェンダーに関する伝統的な見解に対して、あなたが今回の本で言いたかったことは何か?
何百年も前から、世の中で主流の文化は私たちのジェンダーやセクシュアリティーについて強い規制をかけてきた。それで私たちの性的ポテンシャルは狭められた。異性愛だけが自然で、一夫一婦制だけが正しい在り方で、性行為はもっぱら繁殖のためにあると、私たちは教わってきた。それ以外の多様なジェンダー表現は異常で、家族をつくる正しい方法は1つのみだとも教えられた。そのせいで生物学者も、動物の世界も同じだろうと思い込んでいた。
でも技術や観察方法の進歩によって、今は動物の世界を、そして私たち自身をもっと客観的に観察できるようになった。それでようやく、今まで見えなかったものが見えてきた。セックスもジェンダーもセクシュアリティーも、みんな私たちの知る以上に多様で創造性にあふれていた。
──そうであれば制度としてのモノガミー(一夫一婦制)は無用の長物なのだろうか?
そうは言ってない。そもそも生物学は生き物の世界を正しく記述する学問であり、ああしろこうしろと指図するものではない。それに、動物界で見られる社会的モノガミーでは、たいてい両性の平等が重視されていて、子育てへの投資を通じて両性が強く結び付いている。