未来のヒトはどんな顔に? 5万年後の姿を科学的に予測
LOOK OF THE FUTURE
KENTOH/ISTOCK
<【思考実験】遺伝子編集やAIの力で、人類は自ら進化をデザインする時代へー倫理的なブレーキも永遠には利かない...>
もう人類の進化は終わってしまった、などと嘆くなかれ。医薬品や技術の進歩で私たちの生存環境が変わり、生物学的な進化が見えにくくなったのは事実。だが専門家によれば、進化は今も脈々と続いている。
今の時代、人間に起きている進化の多くは生存適性よりも繁殖の成功に関わるのかもしれない。相手を選ぶときの好き嫌いや地理的な要因、あるいは全くの偶然で、遺伝子の発現頻度は変わり続けており、ヒトゲノムの構成にも変動がある。
では今から5万年後、進化したヒトはどんな顔をしているだろうか。もちろん正確な予測は不可能で、できるのは大まかな推測だけ。それでも複数の専門家は本誌に、進化が未来の人類の外見にどのような影響を及ぼし得るかを語ってくれた。
まずはデンマークのオーフス大学准教授で生物情報学者のトーマス・マイルンド。
「進化には先行する出来事によって次に起こることが決まるという決定論的な部分もあるが、突然変異や環境の変化など、予測も制御も不可能な部分もある」とした上で、こんな予想を述べた。
「(寿命の短い)私たちが現在進行形の進化を観察できる機会はめったになく、ましてや何百年とかのタイムスパンでの進化となれば推測の域を出ない。それなりの根拠はあるとしても、大した予測はできない。だからこれは一種の思考実験だ」
と前置きした上で、「5万年もあれば進化の名に値する変化が、たとえ些細なものであっても、いくつか起きても不思議ではない」と語った。