DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国がAI開発の民主化を牽引する時代へ
AN AI GAMECHANGER
電子商取引大手アリババも、主力基盤モデル「Qwen(通義千問)」をオープンソース化。ミニマックスなどの新興AI企業もオープンソースでモデルを発表し、こうしたモデルは性能を評価するベンチマークテストで、アメリカのクローズドソースAIに劣らないことが証明されている。
またオープンソースのツールやデータを共有するアメリカのAI開発プラットフォーム、ハギングフェイスにおいて、今や中国の大規模言語モデル(LLM)は最もダウンロードされるモデルの1つになっている。オープンソース化は世界の開発者を中国のAIエコシステムに引き込むだけでなく、イノベーションを刺激するのだ。
LLMの存在はアプリ開発の土台となるアップルのiOSやグーグルのアンドロイドに近い。アメリカが高性能AIのソースコードを非公開にする限り、中国は最先端技術を安く使いたい国へ影響力を拡大できる。
皮肉にも中国企業はAIの利用を民主化し、オープンAIが掲げた「全人類に利益をもたらすためのAI開発」という理念を実現している。低コストの訓練方法を使ってイノベーションの波に乗るチャンスを、米中以外の国に提供しているのだ。
第3に、半導体の輸出規制はもはやAIの発展を制御できない。ディープシークをはじめ中国企業はアメリカの規制方針に沿ったエヌビディアの「H800」──米企業が使用する高性能GPUのダウングレード版──を使い、高度なソフトウエア技術を駆使してAIを進化させた。