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DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国がAI開発の民主化を牽引する時代へ

AN AI GAMECHANGER

2025年2月3日(月)17時10分
セリーナ・シュイ

一般に生成AIはGPUが多いほど賢くなるとされ、これを「スケーリング則」と呼ぶ。ディープシークはアルゴリズムを革新することで、スケーリング則の限界を超えた。輸出規制で思うように半導体が手に入らないなか、MoE(混合ネットワーク)の改良や量子化といったソフトウエアの最適化技術を使って未曽有のコスト効率を実現し、ライバルよりも高性能なモデルを構築した。

創業者の梁文鋒(リアン・ウエンフォン)は昨年、ウェブメディア「チャイナトーク」でこう述べた。「破壊的テクノロジーに関しては、ソースコードを公開しないクローズドソースにしたところで他社の参入は防げない。オープンAIでさえ、いずれは追い付かれる」


ディープシークが数カ月で最先端モデルに追い付いた事実は、どんな研究機関も技術的優位性を長期間維持するのは不可能なことを示す。開発競争は予想外の速度で技術革新が進む時代に突入した。今後は中小企業や中堅国家がディープシークの訓練方法を踏襲し、参戦するだろう。

半導体の輸出規制は効果なし

第2に中国はオープンソースAIを牽引しつつある。ディープシーク以外にも、中国では多くのAI企業が自社モデルをオープンソースで公開し、世界の開発者が自由に使用、再現、改変できるようにしている。

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