最新記事
テクノロジー

DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国がAI開発の民主化を牽引する時代へ

AN AI GAMECHANGER

2025年2月3日(月)17時10分
セリーナ・シュイ
DeepSeek

ディープシークは米の輸出規制に技術革新で対抗、中国AIの復活を印象付けた PHOTO ILLUSTRATION BY FLORENCE LOーREUTERS

<驚異の低コスト高性能モデルを実現し、世界にショックを与えたディープシーク。中国では他にも多くのAI企業が自社モデルをオープンソースで公開している>

アメリカはゼロから1を作るイノベーションに優れ、中国は1を100にする商業化にたけている──。

テック業界では、昔からそう言われてきた。


この法則はAI(人工知能)にも当てはまると思われた。最先端モデルを開発するのはオープンAIのような米企業で、中国は数年後れを取っているというのが定説だった。

定説を崩したのが中国の新興AI企業、ディープシーク(DeepSeek)の躍進だ。同社が昨年12月の「V3」に続いて1月に最先端生成AIモデル「R1」を発表すると、アメリカのテック関連株は軒並み暴落した。

R1の推論モデルは数学やコーディングの分野でオープンAIの最新モデル「o1(オーワン)」と同等かそれ以上の性能を発揮し、しかも開発費用はそのわずか数%。つまりアメリカとは比較にならないほどGPU(画像処理半導体)リソースの少ない中国企業のAIが、アメリカの最先端AIと肩を並べたのだ。

これはいくつかの点で世界のAI開発競争を塗り替える大事件だ。

第1に、今後競争は資金にものをいわせて半導体を大量に備蓄する大手の独壇場ではなくなる。かつてアメリカの優位性のカギを握るのは、半導体だった。アメリカが中国との性能差を維持するには、半導体の輸出規制が欠かせないとされてきた。

試写会
『シンシン/SING SING』ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ

ワールド

米、ロシアが和平合意ならエネルギー部門への制裁緩和

ワールド

トランプ米政権、コロンビア大への助成金を中止 反ユ

ワールド

ミャンマー軍事政権、2025年12月―26年1月に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中