「ポケモンGO」は中国のスパイ? CIAの道具?...大人気ゲームを直撃した「スパイ疑惑」とは?

THE POKÉMON SPY PANIC

2025年1月8日(水)14時44分
ザック・ドーフマン(安全保障ジャーナリスト)

ナイアンティックのハンケCEO

共同開発元ナイアンティックのハンケCEO AKIO KONーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

しかしその一方で、水面下ではもっと大きな不安材料が持ち上がっていた。ポケモンGOの人気が爆発的に高まるとともに、NSAの本部、ニューメキシコ州の最高機密扱いの核兵器研究施設の近隣、バージニア州北部のCIAの秘密施設でもポケモンが出現するようになったのだ。これらの施設で働く職員の中に、熱心なファンがいたためだ。

これにアメリカの防諜当局は懸念を募らせた。なぜ機密性の高い場所にポケモンが出現したのか。このアプリは「標的型スパイツール」として機能しているのか。


CIA、NSA、核兵器を管理するエネルギー省のセキュリティー専門家は職場でポケモンGOのプレイをやめるよう指示するメモを同僚たちに送った。

エネルギー省がポケモンGOの国家安全保障上の潜在的脅威を懸念しているというフォーリン・ポリシーの報道について、同省の広報担当者は「少し誇張されている」と言った。

NSAはコメントを控えたが、CIAの広報担当者は「デジタル分野の最適な方法」のために「責任ある措置」を取ったと回答した。

ここではっきりさせておこう。ポケモンGOが外国の情報機関とつながっていたとか、スパイ活動に利用されていたという証拠はゼロだ。

7億7000万ドルを調達したナイアンティックの初期の出資者には、任天堂と株式会社ポケモン(いずれも日本企業)、そして元親会社のグーグルが含まれる。

中国の大手テクノロジー企業・網易(ネットイース)や韓国の巨大テック企業サムスンも出資しているが、資金提供者の多くはアメリカに拠点を置くベンチャーキャピタルだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

UBS、米司法省と和解間近 クレディ・スイス脱税ほ

ワールド

ロス山火事、保険損失200億ドル超も JPモルガン

ワールド

ロス山火事、一部で拡大抑制も鎮火に至らず 再び強風

ビジネス

米テスラ、中国で新型モデルY発売 シェア奪還へデザ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 3
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映像に「弾薬が尽きていた」とウクライナ軍
  • 4
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 5
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 6
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 7
    「ポケモンGO」は中国のスパイ? CIAの道具?...大人…
  • 8
    大河ドラマ『べらぼう』が10倍面白くなる基礎知識! …
  • 9
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 1
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 2
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 3
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 7
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 8
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中