エヌビディアのCEOが台湾は半導体に加え「生成AIの中心地になる」と明言する理由
フアンは台湾とAIの未来を大胆に予言(6月、台北での基調講演) AP/AFLO
<トラブルに柔軟に対応できる変化対応力に優れる台湾はAI分野においても、西側陣営における「対中国の最前線」となりそうだ>
最近の台湾で一身に注目を集めるのが、台湾系アメリカ人のジェンスン・フアン。一時マイクロソフトを抜き時価総額トップとなった米半導体大手エヌビディアのCEOだ。
トレードマークの革ジャンと巨額の個人資産、そして人当たりの良さから「三兆元革ジャン兄貴」と親しまれているフアンは、コンピューター見本市「コンピュテックス台北」に合わせて来台し、こう明言した──生成AI産業の中心地は「台湾」になる!
今回エヌビディアは、最新のAI技術をこなせるスーパーコンピューターを台湾に寄贈。さらに、同じく来台中だった半導体製造AMDのリサ・スーCEO(フアンと親戚で同じく台湾系アメリカ人)も、高雄に研究開発センターを設置すると発表した。
蔡英文(ツァイ・インウェン)前政権下で水環境の整備、電力、人材育成など生成AI産業の誘致準備を進めてきた台湾は、急な変化やトラブルに柔軟に対応できる「変化対応力」にたけているのが強みだ。
対中制裁による輸出規制や中国企業との価格競争のなか、次々と事業戦略の練り直しを迫られる半導体部門に加えて、AI分野においても、台湾は西側陣営における「対中国」の最前線となるかもしれない。