TikTokより「万能アプリ」WeChatを恐れるべき理由...中国共産党の監視・検閲システムの重要な一部
You Chat We Censor
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<機能満載の万能アプリ、ウィーチャットが中国国外でも共産党のプロパガンダと大衆監視に利用されている>
中国発の人気動画共有アプリTikTok(ティックトック)は、ダンス動画に夢中のアメリカのティーンエージャーに大人気。そればかりか、今では中国へのデータ漏洩を懸念する米当局からも注目されている。
だがアメリカの自由に対する深刻な脅威の源は別の中国アプリ──中国人と中国系アメリカ人の財布と会話にはるかに広範な影響力を持つウィーチャット(微信・WeChat)だ。これは中国の「万能アプリ」だが、文化や政治をめぐる自由な議論ができるかというと話は別だ。
ウィーチャットはいわばワッツアップとツイッターとフェイスブックとインスタグラムとペイパルを融合したアプリ。メッセージ、電話、ビデオ会議、ゲーム、ショッピング、決済、送金、フィード作成、ニュース閲覧など機能満載で中国や世界中の中国語話者に大人気だ。中国のIT企業でウィーチャットを運営する騰訊(テンセント)が2011年にリリース、月間アクティブユーザー数が10億人を超す中国最大のアプリである。
ウィーチャットは中国語を話すアメリカ人の間で広く利用され、留学生や中国系アメリカ人1世など在米華僑の重要な情報源となっている。そうしたユーザーを狙い、メディアがウィーチャット発で情報発信するケースが爆発的に増えている。
一度使い始めると、ユーザーにとってはウィーチャットのほうが、TikTokや同じようなアプリよりはるかに汎用性が高い。ただのアプリではなく、スマートフォンで中国語を使ってやりとりするための追加OS(基本ソフト)みたいなものだ。
一方で、ウィーチャットはその人気ゆえに中国共産党の監視・検閲システムの重要な一部となっている。党の指示に従い、ユーザーのアクティビティーは追跡・分析・検閲されて政府の手に渡り、中国の大衆監視ネットワークの中で重要な役割を果たしている。アルゴリズムは党の公式見解を推進するように調整され、見解にそぐわない情報は検索結果が上位に表示されないなど統制・検閲の対象になる。
党の見解に反する情報を投稿すれば、昨年の民主派デモの画像をシェアしたユーザーのようにアカウントを削除されたり、不適切な投稿を1件シェアしただけでも投獄されかねない。
当局が直接手出しできない中国国外でもウィーチャットの利用には危険が潜む。