最新記事

ソーシャルメディア

マスクのツイッター改革案「アルゴリズムのオープンソース化」で何が変わるか

Musk’s Plans for Twitter

2022年4月11日(月)16時35分
アーロン・マク

だがツイッターの最近のモデレーション・ポリシーの変更は、実は利用者の活発でオープンなやりとりをサポートすると専門家は指摘。マスクの参加で逆行しなければいいがと考えている。

「ラベル付けをやめるのは得策ではないと思う。言論の自由とは自分の発言に責任を持たないことではないからだ」と、ラベルの有効性を研究しているプリンストン大学のオレスティス・パパキリアコプロスは言う。

「ラベル付けは利用者に異なる視点を与える効果を持つ場合もある」

ヘイトスピーチをこれ以上、許容することはツイッターに不利益をもたらすと、サンダーソンは指摘する。

「疎外された声や脆弱な声を守る取り組みについて、(ツイッターが)公に表明したことを撤回するようなら破滅的だ。ヘイトスピーチの削除はかなり進んでおり、より多くの人が公の場で会話をしやすくなることがはっきりしている」

とはいえ、マスクが保有する株式は9.2%にすぎず、ツイッターが規制にも市場にも縛られていることを考えれば、モデレーションのポリシーが即座にかつ大幅に変わる可能性は低いだろう。

アルゴリズムを選ぶ自由

「国によって言論の自由に対する考え方は異なり、プラットフォームはそれぞれの国に合わせて修正した共通のモデレーション戦術が必要だ」と、パパキリアコプロスは言う。

さらに、言論規制は国によって大きく異なるため、世界的に利用されているプラットフォームでコンテンツ管理を一新することは難しい。

「問題のあるコンテンツがどんどん広まって、プラットフォームが何もしなければ、説明責任を問われることになる」

興味深いことに、マスクの提案は物議を醸すようなものばかりではない。

数少ない具体的な改革案の1つは、アルゴリズムのオープンソース化だ。

これは、エンゲージメント(ツイートを見た利用者の反応や行動)に基づくアルゴリズムでツイートが自分のフィードに表示されるのを受け入れるのではなく、自分のフィードをどのように構成するかを選べるようにしようというものだ。

ツイッター向けにハラスメント対策ツールを提供しているブロック・パーティー社のトレイシー・チョウCEOは、利用者がアルゴリズムを選択できるようにすることで、モデレーションをめぐる問題の多くに対処できると指摘する。

ツイッターのジャック・ドーシー前CEOもこの考え方に賛同している。

「プラットフォームは絶大な力を持ち最善で平均的な体験を提供しようとしているが、利用者の非常に多様な要求に対応していない場合に何が起きるかは、私たちも見てきたとおりだ」と、チョウは言う。

【話題の記事】イーロン・マスクが進める「脳とコンピュータをつなぐ技術」、ここまで来た

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中