最新記事

ソーシャルメディア

マスクのツイッター改革案「アルゴリズムのオープンソース化」で何が変わるか

Musk’s Plans for Twitter

2022年4月11日(月)16時35分
アーロン・マク
イーロン・マスク

ツイートを理由に提訴されたこともあるイーロン・マスク Patrick Pleul/Pool via Reuters

<イーロン・マスクがツイッターの筆頭株主になった。爆弾発言男かつ「言論の自由」絶対主義者だが、マスクの提案は物議を醸すものだけではない>

電気自動車(EV)大手テスラや宇宙ベンチャー企業スペースXのイーロン・マスクCEOは4月、ツイッターへの影響力行使を狙って攻勢に出た。

まず4日、「受動的」株主にとどまる意向を示す「13G」の届け出でツイッター株の9.2%(総額約28億9000万ドル)を取得したことが判明し、一躍同社の筆頭株主になった。

翌5日、ツイッターはマスクを取締役に指名。同社のパラグ・アグラワルCEOは「彼はツイッターの熱烈な信奉者であると同時に厳しい批判者でもあり、ツイッターを長期的に強化する上でツイッターと取締役会に必要な存在だ」とツイートした。

ブルームバーグの報道によれば、これを受けてマスクは届け出をより積極的に経営に関わる「13D」に変更したという(編集部注:10日、マスクが取締役会への参加を辞退したと、アグラワルがツイートした。理由は明らかになっていない。筆頭株主であることは変わらない)。

マスクのこれまでの言動からすれば、彼は利用者の裁量拡大を求める可能性もある。

マスクはツイッター屈指の8000万人以上というフォロワー数を誇る。

セレブの中でも特にまめに更新して自社の情報やジョークやミーム(ネット上で拡散する画像やフレーズなど)を投稿、それがトラブルに発展したこともある。

例えば、2018年にはテスラ株を1株当たり420ドルで非公開化することを検討中だとツイートして、米証券取引委員会(SEC)から証券詐欺罪で提訴された。

マスクは以前からツイッターのモデレーション(不適切なコンテンツ監視)が厳しすぎると非難していた。

3月下旬には「ツイッターが公共の広場として機能している以上、言論の自由の原則に従わなければ民主主義の根本を損なうことになる」とツイートした。

本気でそう考えているとしたら、今こそ彼の思いどおりに変えるチャンスだ。

「誤報やヘイトスピーチに対するツイッターの最近の規制強化は自分の思う『言論の自由』と矛盾する、とマスクが考えているのは明らか」で「2015年時点のツイッターに近いものを目指すのではないか」と、SNSと政治に詳しいニューヨーク大学のジーブ・サンダーソンは指摘する。

ヘイトスピーチは減った

近年ツイッターはモデレーションを強化。特に新型コロナウイルスのパンデミックや2020年の米大統領選などの際、不適切な投稿のラベル付けや削除、アカウントの削除を実施してきた。

マスクの自社でのアプローチは逆だ。

スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」でロシアメディアをブロックするよう要求されたが、3月5日に拒否するとして、「あいにく言論の自由の絶対主義者でね」とツイートした。

新型コロナのデマを拡散した「前科」もある。

【話題の記事】ウクライナでスターリンク衛星通信が提供開始 イーロン・マスクへの要請からわずか10時間半で

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬

ビジネス

中国人民銀、アウトライトリバースレポで3月に800

ビジネス

独2月小売売上は予想超えも輸入価格が大幅上昇、消費
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中