マスクのツイッター改革案「アルゴリズムのオープンソース化」で何が変わるか
Musk’s Plans for Twitter
ツイートを理由に提訴されたこともあるイーロン・マスク Patrick Pleul/Pool via Reuters
<イーロン・マスクがツイッターの筆頭株主になった。爆弾発言男かつ「言論の自由」絶対主義者だが、マスクの提案は物議を醸すものだけではない>
電気自動車(EV)大手テスラや宇宙ベンチャー企業スペースXのイーロン・マスクCEOは4月、ツイッターへの影響力行使を狙って攻勢に出た。
まず4日、「受動的」株主にとどまる意向を示す「13G」の届け出でツイッター株の9.2%(総額約28億9000万ドル)を取得したことが判明し、一躍同社の筆頭株主になった。
翌5日、ツイッターはマスクを取締役に指名。同社のパラグ・アグラワルCEOは「彼はツイッターの熱烈な信奉者であると同時に厳しい批判者でもあり、ツイッターを長期的に強化する上でツイッターと取締役会に必要な存在だ」とツイートした。
ブルームバーグの報道によれば、これを受けてマスクは届け出をより積極的に経営に関わる「13D」に変更したという(編集部注:10日、マスクが取締役会への参加を辞退したと、アグラワルがツイートした。理由は明らかになっていない。筆頭株主であることは変わらない)。
マスクのこれまでの言動からすれば、彼は利用者の裁量拡大を求める可能性もある。
マスクはツイッター屈指の8000万人以上というフォロワー数を誇る。
セレブの中でも特にまめに更新して自社の情報やジョークやミーム(ネット上で拡散する画像やフレーズなど)を投稿、それがトラブルに発展したこともある。
例えば、2018年にはテスラ株を1株当たり420ドルで非公開化することを検討中だとツイートして、米証券取引委員会(SEC)から証券詐欺罪で提訴された。
マスクは以前からツイッターのモデレーション(不適切なコンテンツ監視)が厳しすぎると非難していた。
3月下旬には「ツイッターが公共の広場として機能している以上、言論の自由の原則に従わなければ民主主義の根本を損なうことになる」とツイートした。
本気でそう考えているとしたら、今こそ彼の思いどおりに変えるチャンスだ。
「誤報やヘイトスピーチに対するツイッターの最近の規制強化は自分の思う『言論の自由』と矛盾する、とマスクが考えているのは明らか」で「2015年時点のツイッターに近いものを目指すのではないか」と、SNSと政治に詳しいニューヨーク大学のジーブ・サンダーソンは指摘する。
ヘイトスピーチは減った
近年ツイッターはモデレーションを強化。特に新型コロナウイルスのパンデミックや2020年の米大統領選などの際、不適切な投稿のラベル付けや削除、アカウントの削除を実施してきた。
マスクの自社でのアプローチは逆だ。
スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」でロシアメディアをブロックするよう要求されたが、3月5日に拒否するとして、「あいにく言論の自由の絶対主義者でね」とツイートした。
新型コロナのデマを拡散した「前科」もある。